補助金の加点項目とは?「必須要件」との違いをはっきりさせる
公開日 2026-09-22

1. 結論から:加点項目は「要件」とは別のものです
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
まず結論からお伝えします。補助金の審査でチェックされる項目には、大きく分けて二種類あります。満たしていないと対象外になってしまう「要件」と、満たしていれば評価に上乗せされる「加点項目」です。加点項目を満たしていないからといって、それだけで不採択になるわけではありません。ただし、加点の多くは申請の直前に用意できるものではなく、認定や届出を先に済ませておく必要があるものが少なくありません。この違いを知らずに公募要領を読むと、大事な準備期間をそのまま逃してしまいます。
福田(聞き手)
なるほど。「加点はあると有利なもの」であって、「要件は無いと入り口にすら立てないもの」、という整理なんですね。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そのとおりです。この記事では、要件と加点項目がどう違うのか、よく見かける加点の種類にはどんなものがあるのか、そして加点項目とどう付き合うと良いのかを順番にお話しします。
2. 「要件」と「加点」——混同すると準備の順番を間違える
福田(聞き手)
要件と加点項目は、公募要領の中ではどう見分ければいいのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
公募要領の中では、「対象者」「対象事業」「対象経費」といった見出しの下に書かれているのが要件です。ここを一つでも満たさないと、応募そのものが受け付けられないか、審査の対象から外れてしまいます。一方、加点項目は「審査項目」「加点」「政策加点」といった見出しの下、評価の観点として書かれています。要件をすべて満たしたうえで、さらに評価を積み増す仕組みだと考えてください。
福田(聞き手)
要件さえ満たしていれば、加点項目は気にしなくても大丈夫でしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そこは制度や回によって違います。応募が集中して選考が厳しくなる回ほど、要件を満たしただけの申請同士が並ぶことになり、加点の有無が採否を分ける場面が出てきます。逆に、応募が少ない回であれば、加点が無くても通ることがあります。どちらの状況になるかは事前には分からないため、加点項目は「無くても良いが、あれば安心材料になる」ものとして扱うのが現実的です。対象になり得る制度そのものを探す場合は、補助金・助成金の一覧から公募状況を確かめてみてください。
3. 加点は「これから取る」ものではなく「もう持っている」ことが前提になりやすい
福田(聞き手)
加点項目は、申請書を書くときに準備すればよいのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そこが一番の注意点です。加点項目の多くは、申請の時点ですでに認定や登録を受けていることが条件になっています。申請書を書き始めてから慌てて取得しようとしても、認定には審査や手続きの期間がかかるため、公募の締切に間に合わないことがあります。
福田(聞き手)
つまり、公募が始まってから動き出したのでは遅いことがある、ということですね。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
はい。公募要領を読んだ段階で、自社が使えそうな加点項目があるかどうかをまず確認し、まだ持っていないものについては、今回の申請には間に合わなくても、次の機会に向けて取得の手続きを始めておく、という考え方が現実的です。加点項目は「申請書の書き方」の話ではなく、「日頃からの備え」の話だと捉えておくと、直前になって慌てずに済みます。
4. よく見かける加点の種類
福田(聞き手)
具体的には、どんな加点項目をよく見かけますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
制度によって組み合わせは違いますが、繰り返し見かけるものがいくつかあります。
- 経営革新計画の認定を受けていること
- 事業継続力強化計画(BCP)の認定を受けていること
- 賃上げに関する方針を表明していること
- 健康経営優良法人など、健康経営に関する認定を受けていること
- 女性の活躍推進に関する認定を受けていること
福田(聞き手)
これらは、どの制度でも共通して使える加点なのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
いいえ、共通ではありません。どの項目を加点として採用するか、どの程度重く評価するかは制度ごとに違います。似た名前の認定であっても、制度によって加点の対象に入っていたり入っていなかったりするため、「この認定を持っているから、どの制度でも加点になる」とは考えず、応募しようとしている制度の公募要領で、そのつど加点項目の一覧を確認してください。
5. 認定の申請先は、制度の窓口とは別の場所にある
福田(聞き手)
これらの認定は、補助金の窓口に申請すればもらえるものなのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
いいえ、違います。加点の元になる認定の多くは、補助金の制度そのものとは別の窓口が発行しています。経営革新計画や事業継続力強化計画は都道府県や国の関係機関、健康経営や女性活躍に関する認定も、それぞれ別の制度の枠組みの中で運営されています。
福田(聞き手)
補助金の申請窓口に問い合わせても、認定の手続きは進まない、ということですね。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そうです。加点を狙う場合は、公募要領を読んで「どんな加点があるか」を知ったら、そこに書かれている認定の名称をもとに、その認定を所管している窓口を別途調べて、そちらへ申請する必要があります。窓口が分からないときは、商工会議所や商工会、よろず支援拠点といった身近な相談先に聞くと、どこに申請すればよいか案内してもらえることがあります。
6. 加点は「あると有利」であって、中身の薄い計画を補うものではない
福田(聞き手)
加点項目をたくさん揃えれば、それだけで通りやすくなるのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そこは誤解しやすいところです。加点はあくまで上乗せの評価であり、事業計画そのものの中身が薄いまま、加点項目の数だけを増やしても、採択には結びつきません。審査では、事業の内容が制度の目的に合っているか、実現の見込みがあるかといった本体部分がまず見られます。加点項目は、その本体部分が整ったうえで、同じくらいの水準の申請同士を並べたときに差になるものだと考えてください。
福田(聞き手)
本体を作り込まずに、加点集めに時間を使うのは順番が違う、ということですね。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
はい。まず事業内容そのものを、制度の目的に沿って丁寧に組み立てること。そのうえで、時間的に間に合う加点項目があれば取り入れる。この順番を逆にしないことが大切です。デジタル化を目的にした投資を考えている場合は、目的から探す(デジタル化)のページから、対象になり得る制度をあわせて探してみてください。
7. 減点や不利な扱いになる項目を置いている制度もある
福田(聞き手)
加点だけでなく、逆に不利になる項目もあるのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
あります。制度によっては、過去に同じ制度の交付を受けている場合や、一定の期間内に複数回申請している場合、特定の状況に該当する場合などに、評価を下げる扱いを定めていることがあります。加点項目と並んで、公募要領の審査項目の欄に書かれていることが多いです。
福田(聞き手)
加点だけを見て、こうした項目を見落とすと危ない、ということですね。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そのとおりです。公募要領の審査に関する部分を読むときは、「何が評価を上げるか」だけでなく、「何が評価を下げるか」もあわせて確認してください。心当たりがある場合は、応募のタイミングをずらしたほうがよいこともあります。
8. 加点項目は公募回ごとに変わる——前回の情報のまま準備しない
福田(聞き手)
一度調べて分かった加点項目を、次の公募でもそのまま使ってよいものでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そこは注意が必要です。加点項目は公募回ごとに見直されることがあり、前回は加点だった項目が今回は対象外になっていたり、逆に新しい項目が加わっていたりします。同じ制度名であっても、最新の公募要領を回ごとに読み直す必要があります。
福田(聞き手)
次の公募がいつ出るか、こちらから探しに行かないと分からないものでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
公募要領はある日突然更新されることが多く、探しに行くタイミングを逃しがちです。ですので私は、探しに行くより「出たら気づける状態にしておく」ことをおすすめしています。当サイトにも条件を登録しておくと、新しい制度が載った日にメールが届く仕組みがありますので、そうしたものを使っておくと、公募が切り替わったタイミングに気づきやすくなります。加点項目の中身については、気づいたそのときに、あらためて公募要領で確認してください。
よくある質問
Q. 加点項目を一つも満たしていない場合、応募しても意味がないのでしょうか。 A. そうとは限りません。加点項目は上乗せの評価であり、満たしていないこと自体が不採択に直結するものではないことが一般的です。事業内容そのものが制度の目的に合っているかどうかのほうが、まず重要になります。
Q. 加点のための認定は、どこに申請すればよいか分からないときはどうすればよいですか。 A. 補助金の公募要領に書かれている加点項目の名称をもとに、まずは商工会議所や商工会、よろず支援拠点といった身近な相談先に尋ねる方法があります。制度によって所管する機関が異なるため、名称だけで判断せず、そのつど確認することをおすすめします。
Q. 加点項目の準備や申請書の作成を代わりにお願いすることはできますか。 A. 内容によっては、申請書の作成や提出の代行が特定の資格を持つ専門家の独占業務にあたる場合があります。書き方や進め方に迷ったときは、商工会議所や商工会、よろず支援拠点、必要に応じて社会保険労務士や労働局・ハローワークなど、制度に応じた相談先に確認する方法があります。