九州の補助金相談先の探し方|商工会・よろず支援拠点をどう選ぶか
公開日 2026-09-09

1. 結論から:まず「何を相談したいか」で窓口を選ぶ
福田(聞き手)
補助金や助成金のことを相談したいのですが、そもそもどこに行けばいいのか分かりません。窓口がいくつもあるように見えて、最初の一歩で迷ってしまいます。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
それはよくあるつまずき方です。先に窓口を1つに絞ろうとするより、相談したい内容で振り分けるほうが早く進みます。
大まかには次のように分かれます。
- 小規模な事業者向けの補助金で、申請書類の一部に「確認書」のようなものが必要になりそうなら、まず商工会・商工会議所です。
- 何を使えるか自体がまだ分からない、業種を問わず幅広く相談したいなら、よろず支援拠点です。
- 県独自の補助金や、ものづくり・創業といった分野に強い相談先を探しているなら、各県の産業振興財団・中小企業支援センターです。
- 従業員の教育訓練や雇用にまつわる助成金なら、労働局・ハローワークです。
どの窓口も、まずは相談だけでも受け付けています。「使えるかどうか分からないから聞きに行けない」と迷う必要はありません。具体的にどの制度が対象になり得るかは、補助金・助成金の一覧から探しながら、窓口で確認する進め方がおすすめです。
2. 商工会・商工会議所には何を相談できるのか
福田(聞き手)
「商工会」と「商工会議所」は違う組織なのでしょうか。どちらに相談すればよいか分かりません。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
どちらも小規模事業者を支援する組織で、役割は近いです。おおまかに、商工会議所は市を中心とした地域を、商工会はそれ以外の町村部を担当している、という違いがあります。自社がある市区町村がどちらの管轄かを、まず確認してください。
商工会・商工会議所の大きな役割の1つが、小規模事業者向けの補助金で求められることが多い「事業支援計画書」などの確認書を発行することです。この確認書は、事業者が単独で作るものではなく、経営指導員との面談を通じて、事業計画の内容を一緒に整えながら発行してもらう性質のものです。
福田(聞き手)
確認書が必要な制度かどうかは、どうやって見分ければいいのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
公募要領の提出書類の欄に、確認書や事業支援計画書といった名称の書類が挙がっているかどうかで判断できます。この欄は制度ごとに違うので、該当する制度のページで確認するのがいちばん確実です。判断に迷ったら、その時点で商工会・商工会議所に相談してしまってよいと思います。書類が必要かどうかも含めて教えてもらえます。
3. よろず支援拠点は商工会と何が違うのか
福田(聞き手)
商工会にはまだ入っていないのですが、それでも相談できるところはありますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そこで使えるのがよろず支援拠点です。国が各都道府県に設置している経営相談の窓口で、特定の会員組織に入っていなくても、業種を問わず相談できます。商工会・商工会議所のように地域の担当が決まっている組織ではなく、経営課題全般を幅広く聞いてくれる窓口だとイメージしてください。
福田(聞き手)
何を相談すればいいか自分でもまだ整理できていないのですが、それでも大丈夫でしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
むしろそういう段階にこそ向いています。「使える補助金があるか分からないので、まず話を聞いてほしい」という相談の仕方で問題ありません。専門分野の異なる相談員が在籍していることが多く、必要に応じて、より専門的な窓口や専門家を紹介してもらえることもあります。まず何かを決めてから行く場所ではなく、決める前に行く場所だと考えてよいでしょう。
4. 各県の産業振興財団・中小企業支援センターの役割
福田(聞き手)
商工会やよろず支援拠点とは別に、県のホームページで「産業振興財団」という名前を見かけました。これも相談窓口なのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
はい。各県には、産業振興財団や中小企業支援センターといった名称の公的機関があり、県独自の補助金の相談窓口や、申請の窓口そのものを兼ねていることが多い組織です。九州の各県で名称や体制は少しずつ異なりますが、役割としては近いものだと考えてください。
福田(聞き手)
商工会やよろず支援拠点との違いは何になるのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
商工会・商工会議所やよろず支援拠点が事業者に近い立場で相談に乗るのに対して、産業振興財団・中小企業支援センターは、県が実施する制度そのものの運営に関わっていることが多いという違いがあります。そのため、県独自の補助金については、制度の細かい条件を直接確認できる窓口になりやすいです。地域ごとの制度は地域から探すのページからも確認できるので、あわせて見ておくと相談がスムーズになります。
5. 雇用関係の助成金は労働局・ハローワークへ
福田(聞き手)
従業員の研修費用や、雇用に関する助成金についても、今までの窓口に相談してよいのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
雇用関係の助成金は、窓口自体が別になります。人材育成や雇用の維持・改善に関する助成金は、都道府県労働局やハローワークが窓口です。商工会やよろず支援拠点でも一般的な案内はしてもらえますが、申請そのものの相談は労働局・ハローワークが本来の窓口だと考えてください。
福田(聞き手)
自社の研修が対象になり得るかどうかも、そこで聞けるのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
研修の内容や実施方法によって対象になり得るかどうかが変わってくるため、個別の状況を伝えたうえで確認するのが確実です。どのような研修に使える助成金があるかの全体像は、人材育成に使える制度からも探せますので、事前に目星をつけてから相談すると、話が早く進みます。
6. 社会保険労務士・中小企業診断士とは何が違うのか
福田(聞き手)
ここまでの窓口とは別に、社会保険労務士や中小企業診断士という専門家もいますよね。何が違うのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
大きな違いは、独占業務を持つ国家資格かどうかです。社会保険労務士は、労働・社会保険に関する書類の作成や提出手続きが法律で定められた独占業務であり、雇用関係の助成金の申請書類作成・提出は、社会保険労務士の独占業務にあたります。このため、ここまで紹介してきた商工会・よろず支援拠点・産業振興財団・労働局・ハローワークは、いずれも情報提供や相談には応じますが、申請書類の作成・提出そのものを代行する立場ではありません。
福田(聞き手)
中小企業診断士はどう違うのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
中小企業診断士は経営全般の診断・助言を行う専門家で、独占業務を持つ資格ではありません。事業計画の作り込みや、補助金の活用方針を相談する相手として位置づけられることが多いです。「手続きを代わりに進めてほしい」なら社会保険労務士(雇用関係の助成金の場合)、「事業計画そのものを一緒に練りたい」なら中小企業診断士や、よろず支援拠点の相談員、というように、相談したい内容で使い分けるとよいでしょう。
よくある質問
Q. どこに相談すればよいか本当に分からないときは、まずどこに行けばよいですか。 A. 業種や制度を問わず幅広く相談できる、よろず支援拠点から始めるのが1つの方法です。話を聞きながら、必要な窓口を案内してもらえることもあります。
Q. 複数の窓口に同時に相談してもよいのでしょうか。 A. 問題ありません。窓口によって得意分野が異なるため、同じ相談を複数の窓口にしてみて、案内の違いを比べること自体が判断材料になります。
Q. 相談する前に、対象になり得る制度をある程度調べておいたほうがよいですか。 A. 調べておくと相談がスムーズになります。補助金・助成金の一覧や目的別のページで、気になる制度をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。