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補助金は併用できる?国と自治体の制度を重ねて使える条件と注意点を解説

公開日 2026-09-16

補助金は併用できる?国と自治体の制度を重ねて使える条件と注意点を解説

結論から

福田(聞き手)
国の補助金と、自社の自治体の補助金と、両方に興味がある制度があります。同時に申請して、両方から補助を受けることはできるのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
結論からいうと、条件によります。「同じ経費」に対して二つの制度から重ねて補助を受けることは、原則としてできません。これは複数の制度に共通する考え方です。

ただし、対象になる経費を分けて充てれば、両方の制度を使える場合があります。さらに、はじめから国の制度に上乗せする形で設計されている自治体の制度もあります。どちらのケースも、自己判断で進めず、申請書の記載や事務局への確認を通じて正しく手続きすることが前提です。この記事では、その考え方と注意点を順番に整理します。

1. なぜ「同じ経費への二重の補助」は原則できないのか

福田(聞き手)
そもそも、なぜ同じ経費に二つの制度から補助を受けてはいけないのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
補助金・助成金は、実際にかかった経費の一部を国や自治体が肩代わりする仕組みだからです。一つの経費に対して複数の制度から補助を受けてしまうと、実際に自社が負担した金額を超えて公的な支援を受け取ることになりかねません。これは制度の趣旨から外れるため、多くの公募要領・支給要領では、同一の経費への重複受給を禁止する規定が置かれています。

ここで大事なのは、「制度そのものの併用」が禁止されているのではなく、「同じ経費への重複」が禁止されているという点です。この違いを押さえておくと、次に説明する「対象経費を分ける」考え方が理解しやすくなります。

2. 対象経費を分ければ、両方使える場合がある

福田(聞き手)
制度そのものではなく、経費の重複が問題だとすると、うまく分ければ両方使えるということでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
その通りです。たとえば一つの事業計画の中に、機械装置の購入費と、広告宣伝費と、専門家への相談費用が含まれているとします。このとき、機械装置の購入費はA制度の対象経費に充て、広告宣伝費はB制度の対象経費に充てる、というように経費の項目ごとに充てる制度を分ければ、同じ経費への重複には当たらず、両方の制度を使える場合があります。

ただし、この考え方が成り立つかどうかは、それぞれの制度の対象経費の範囲と、重複受給に関する規定の書きぶりによって変わります。制度によっては「他の制度の対象となる経費は、たとえ金額を分けていても対象外とする」という、より厳しい規定を置いていることもあります。「経費を分ければ大丈夫」と自己判断で決めつけず、両方の制度の事務局に事前に確認することが欠かせません。

3. 国の制度に上乗せする自治体制度がある

福田(聞き手)
国の制度と自治体の制度が、はじめから組み合わさっている場合もあると聞きました。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
あります。国の主要な補助制度に採択された事業者を対象に、自治体が独自の予算で上乗せの補助を行う制度が九州の各県・各市にも存在します。この形の制度は、国の制度への採択を受けていることそのものが応募条件になっているのが特徴です。

上乗せ型の制度は、国の制度と重複受給の関係にあるのではなく、もともと国の制度と組み合わさる前提で設計されています。そのため、通常の「同じ経費への二重受給」の禁止には当たりません。ただし、上乗せ型と呼べるかどうかは制度ごとの設計次第であり、名称だけでは判断できません。気になる制度があれば、対象経費の範囲や申請の順序(国が先か、自治体が先か)を、それぞれの公募要領で確認してください。

4. 申請書に「他の補助金の申請状況」を書く欄がある理由

福田(聞き手)
申請書には、他の補助金にも申請しているかを書く欄をよく見かけます。あれは何のための欄なのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
事務局が重複受給を事前にチェックするための欄です。同じ経費に他の制度からも補助を受けようとしていないか、あるいは既に受けていないかを、申請の段階で把握する目的があります。

この欄に未申請の制度まで含めて正直に書くことには意味があります。事務局はこの記載をもとに、対象経費が重ならないかを審査段階で確認できます。逆に、この欄を空欄にしたり、実際には申請中の制度を書かなかったりすると、審査時点では気づかれずに採択されてしまうことがあります。ですが、それは問題が無くなったことを意味しません。次の章で説明するとおり、後になって発覚することがあります。

5. 黙って重ねると、あとから返還を求められることがある

福田(聞き手)
申請の段階で気づかれなければ、そのままで済むこともあるのではないですか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そう考えるのは危険です。多くの制度では、交付決定後や事業完了後の実績報告の段階で、他の制度からの受給状況をあらためて確認する手続きがあります。ここで同じ経費への重複受給が判明すると、既に受け取った補助金の全部または一部の返還を求められることがあります。

さらに、意図的な虚偽記載と判断されれば、その後の申請が制限されるという扱いを受ける場合もあります。「経費を分ければ大丈夫」という判断も、必ず事務局に確認した上で行うべきものです。自己判断で黙って進めるのではなく、複数の制度を検討している時点で、それぞれの事務局に状況を伝え、指示に従って手続きすることが、結果的にいちばん確実な進め方になります。

よくある質問

Q. 国の制度と自治体の制度を同時に検討していますが、どちらに先に相談すればよいですか。 決まった順番はありません。それぞれの制度の事務局に、他の制度も検討している旨を伝えた上で相談することをおすすめします。制度によっては、片方への採択が応募条件になっていることもあるため、両方の公募要領に目を通しておくと進めやすくなります。

Q. 「経費を分ける」以外に、両方の制度を使う方法はありますか。 時期をずらす方法もあります。たとえば一方の制度の事業完了後、別の年度に別の経費で新たに申請するという形です。この場合も、それぞれの制度の応募条件(過去の受給歴に関する制限の有無など)を事務局に確認してください。

Q. 併用の可否について、代わりに調べて申請してもらうことはできますか。 申請書の作成・提出の代行は、社会保険労務士など専門資格者の業務範囲に関わります。併用の可否や経費の分け方について相談したい場合は、それぞれの制度の問い合わせ先のほか、社会保険労務士や商工会・商工会議所、労働局、ハローワークが相談先になり得ます。

次に読む

具体的な制度を探す場合は、目的から見るのが近道です。

地域から探す場合は福岡県・熊本県・佐賀県・長崎県・鹿児島県の各ページからどうぞ。

重複受給の扱いも、上乗せ型の設計も、対象経費の範囲も、制度ごとに異なります。この記事に具体的な制度名や金額を書いていないのはそのためです。実際に複数の制度の併用を検討する際は、それぞれの最新の公募要領・支給要領と、事務局への確認を必ず行ってください。

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