従業員がいない会社でも補助金は使えるか?一人社長・家族経営の見分け方
公開日 2026-09-18

1. 結論から
設備投資や販路開拓を目的にした補助金の多くは、従業員数の下限を設けていません。一人社長の会社や、家族だけで営んでいる会社でも対象になり得ます。
一方で、人を雇うことを前提にした助成金(雇用関係の助成金)は、雇用保険の被保険者がいることが条件になっている場合が多く、役員だけの会社は対象から外れることがあります。
つまり、自社がどちらの系統の制度を見ているのかを最初に見分けることが、遠回りを避ける近道になります。以下で、それぞれの理由を順番に見ていきます。
2. なぜ従業員数の下限を設けていない制度が多いのか
設備を新しく入れる、販路を広げる、商品を開発する、といった取り組みは、会社の規模にかかわらず発生します。むしろ一人社長の会社や小規模な会社ほど、限られた資金の中で設備投資や販路開拓に踏み切りにくい、という事情があります。そのため、対象となる会社の規模に上限を設けることはあっても、下限を設けない制度が多くなります。
こうした制度は設備投資に使える制度や販路開拓・売上拡大に使える制度の中に多く見られます。気になる制度があれば、対象要件のうち「従業員数」の項目がどう書かれているかを確認してみてください。
3. 雇用に関する助成金が「雇用保険の被保険者」を前提にする理由
そのため、こうした助成金の申請では「雇用保険の適用事業所であること」「対象になる労働者が雇用保険の被保険者であること」が前提の条件として置かれていることが多くあります。財源と対象の考え方が結びついている、とご理解いただくと分かりやすいと思います。
4. 役員だけの会社が雇用系の制度で対象から外れる理由
このため、役員は原則として雇用保険の被保険者にならず、役員だけの会社は雇用関係の助成金の対象から外れることがあります。ただし、部長や工場長のように従業員としての職務も併せて行っている役員(兼務役員)については、労働者としての実態があるかどうかで扱いが変わる場合があります。個別の判断が必要になりますので、この点は後ほど相談先とあわせてご案内します。
なお、今は役員だけの会社でも、将来的に従業員を雇用保険の被保険者として雇い入れれば、その時点から雇用関係の助成金を検討できるようになる場合があります。今の会社の形が、この先ずっと同じ結果を意味するわけではありません。
5. 設備投資・販路開拓の制度は人数を問わないことが多いこと
一人社長の会社や家族経営の会社であれば、まず設備投資に使える制度や販路開拓・売上拡大に使える制度から探すほうが、対象になり得る制度に早くたどり着けます。人を雇うことを前提にした人材育成に使える制度は、従業員を雇い入れてから検討しても遅くありません。
6. 自社がどちらの系統の制度を見ているのかを見分ける
- 「雇用保険の適用事業所であること」という条件が書かれているか
- 対象経費が「設備」「システム」「広告・展示会出展」など事業そのものに使うものか、それとも「訓練費用」「賃金の一部」など雇っている人に関するものか
- 申請にあたって従業員の在籍状況や雇用保険の被保険者番号の提出を求められているか
これらに当てはまる制度は雇用系の助成金である可能性が高く、役員だけの会社は対象から外れやすくなります。当てはまらない制度は、従業員の有無にかかわらず対象になり得る可能性が高いといえます。迷ったときは、補助金・助成金の一覧から気になる制度のページを開き、対象要件の欄を確認することをお勧めします。
よくある質問
Q. 会社ではなく個人事業主ですが、考え方は同じですか。 A. 基本的な考え方は同じです。従業員を雇っていない個人事業主も、設備投資や販路開拓を目的にした補助金では対象になり得ます。一方、雇用関係の助成金は雇用保険の被保険者を雇っていることが前提になるため、従業員がいない個人事業主は対象から外れることがあります。
Q. これから従業員を雇う予定があります。どのタイミングで確認すればよいですか。 A. 雇用保険の被保険者として雇い入れる前後で、対象になり得る雇用関係の助成金が変わることがあります。雇い入れの計画が固まった段階で、一度、制度の対象要件を確認しておくことをお勧めします。
Q. 自社がどちらの制度に当てはまるか、自分で判断がつきません。 A. 個別の状況によって判断が分かれる場合は、社会保険労務士やハローワーク、商工会議所・商工会などの相談窓口に確認することをお勧めします。申請書の作成・提出そのものを代行できるのは社会保険労務士に限られていますが、制度の対象になり得るかどうかの相談は、上記の窓口でも受け付けています。