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働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)とは?成果目標で額が決まる

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)とは?成果目標で額が決まる

制度概要

募集中
対象地域
全国
主な対象者
労働者災害補償保険の適用を受け、年5日の年次有給休暇取得に向けて年休管理簿や就業規則等を整備している中小企業事業主で、資本金の額または常時使用する労働者数が業種ごとの基準以下の事業者

対象となる可能性がある事業者の例です。詳細な要件は本文および公式ページでご確認ください。

補助率
4分の3〜5分の4(条件による)
上限額
150万円
申請期限
2026年11月30日まで

公開日 2026-09-09 / 最終更新日 2026-09-11 / 情報確認日 2026-09-11 / 公式ページを見る

この助成金の結論

福田(聞き手)
白石さん、今回は「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」です。似た名前の助成金がいくつかありますが、どんな制度ですか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
はい。公募情報では「生産性を向上させ、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する」ものとされています。令和8年度の申請受付は令和8年4月13日に開始しました。まず全体像を表にします。
項目 内容
制度名 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
実施機関 厚生労働省
補助率 4分の3(条件により5分の4)
助成上限額 成果目標に応じて最大150万円
対象者 中小企業事業主(業種ごとの資本金・労働者数要件あり)
対象業種 全業種
対象地域 全国
受付期間 2026年4月13日〜2026年11月30日17時
福田
先ほど別の記事で見た「勤務間インターバル導入コース」と、名前がよく似ていますね。
白石みなと
はい、同じ働き方改革推進支援助成金の別コースです。あちらは休息時間の導入が軸でしたが、こちらは労働時間の短縮と年次有給休暇の取得促進が軸になっています。対象になる取組の中身が違いますので、次の章から詳しく見ていきましょう。

対象になる事業者

福田
対象になる事業主の条件を教えてください。
白石みなと
公募情報では、次の2つのいずれにも該当する中小企業事業主、とされています。
# 要件
① 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
② 年5日の年次有給休暇の取得に向けて、年休管理簿や就業規則等を整備していること
福田
②はすでに体制が整っている会社が対象、ということですか。
白石みなと
公募情報の書き方ではそう読めます。年休管理簿や就業規則等の整備が前提として明記されており、整備がまだの場合にどう扱われるかまでは、この情報からは確認できませんでした。整備の状況に不安がある場合は、申請前に管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部へご確認ください。
福田
中小企業事業主かどうかは、どこで判定するんですか。
白石みなと
主たる事業ごとに、資本金の額(または出資の総額)か常時使用する労働者の数のいずれかで判定します。表にします。
業種 資本金の額又は出資の総額 常時使用する労働者数
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院 - 300人以下
その他の事業 3億円以下 300人以下
福田
いずれか一方を満たせばよいということですか。
白石みなと
そのとおりです。資本金・出資総額と労働者数のどちらか一方が基準以下であれば、中小企業事業主に該当します。

補助対象となる取組(改善事業)

福田
実際に何をすれば助成の対象になりますか。
白石みなと
「改善事業」として9つの取組が示されていて、このうち1つ以上を選択します。表にします。
# 取組
(1) 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修を含む)
(2) 労働者に対する研修、周知・啓発
(3) 外部専門家によるコンサルティング
(4) 就業規則・労使協定等の整備
(5) 人材確保に向けた取組
(6) 労務管理用ソフトウェア等の導入・更新
(7) 労務管理用機器の導入・更新
(8) デジタル式運行記録計の導入・更新
(9) 上記に該当しない、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
福田
(6)のソフトウェアは、具体的にどんなものが対象になりますか。
白石みなと
公募情報には具体例が並んでいます。勤怠管理ソフトウェアの導入・更新、既製品の労務管理ソフトの自社専用カスタマイズ(自社開発を除く)、労務管理ソフトと給与システムのAPI連携、RPA等を用いた既存連携の自動化などです。「名称の如何にかかわらず、労働時間管理の機能を含むソフトウェア、クラウドサービス又はSaaS等」と定義されているのが特徴です。
福田
経費の区分についても教えてください。対象外もあわせて知りたいです。
白石みなと
経費区分は謝金・旅費・借損料・会議費・雑役務費・印刷製本費・原材料費・広告宣伝費・機械装置等購入費・造作費・人材育成教育訓練費・経営コンサルティング経費・備品費・委託費の14区分です。一方で乗用自動車等の購入費用、事務所の賃借料・光熱費・労働者の賃金・交際費・消耗品費・通信費、電話機・パソコン・タブレット・スマートフォン等の汎用事務機器、それに「単なる経費削減を目的とした内容(LED電球への交換等)」は対象外と明記されています。働き方の仕組みを変える取組であることが前提です。

成果目標(達成すべき条件)

福田
改善事業を実施するだけでよいのですか。
白石みなと
いいえ、次の3つから1つ以上を選択し、その達成を目指すことが条件です。
# 成果目標
(1) 時間外・休日労働の上限設定
(2) 年次有給休暇の計画的付与の導入
(3) 時間単位の年次有給休暇及び特別休暇の導入
福田
(1)はどんな内容ですか。
白石みなと
全ての指定事業場で、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの期間に有効期間の始期を含む36協定について、時間外・休日労働の時間数を月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に設定し、所轄労働基準監督署長に届け出ることです。
福田
(2)と(3)はどうでしょうか。
白石みなと
(2)は全ての指定事業場で年次有給休暇の計画的付与を新たに導入すること。(3)は全ての指定事業場で時間単位の年次有給休暇を新たに導入し、かつ特別休暇を1種以上新たに導入することです。これらに加えて、賃上げ加算・割増賃金率加算を任意で追加でき、次の章で詳しく説明します。

補助率と上限額

福田
補助率を教えてください。
白石みなと
基本は4分の3です。ただし、常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主が、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新を実施し、かつ改善事業の実施に要した費用の合計額が30万円を超えるときは、5分の4に上がります。1,000円未満の端数は切り捨てです。
福田
上限額は成果目標によって変わるんですね。
白石みなと
はい。成果目標(1)を達成した場合は、交付申請日を有効期間に含む36協定の時間外労働時間数(A)と、事業実施予定期間に届け出た36協定の時間外労働時間数(B)の組み合わせで決まります。
(A)交付申請時 (B)事業実施予定期間届出後 助成上限額
月60時間超80時間以下 月60時間以下 100万円
月60時間超80時間以下 月60時間超80時間以下 設定なし
月80時間超 月60時間以下 150万円
月80時間超 月60時間超80時間以下 50万円
福田
成果目標(2)(3)の場合はどうですか。
白石みなと
成果目標(2)の年次有給休暇の計画的付与の導入、成果目標(3)の時間単位年休・特別休暇の導入を達成した場合は、それぞれ25万円が助成上限額です。表の一番上の150万円が、この制度で届く最も高い上限額になります。
福田
交付額は、この上限額がそのまま出るということですか。
白石みなと
そうではありません。「助成上限額の範囲で、改善事業の実施に要した費用の合計額に補助率を乗じた額」が交付額です。上限額と、実費×補助率のうち低い方が実際に出る金額だと考えてください。

賃上げ加算・割増賃金率引上げ加算

福田
賃上げ加算について教えてください。
白石みなと
賃金対象労働者の時間当たり賃金額を引き上げた場合に加算されます。引上げ率は3%以上・5%以上・7%以上の3区分、加算対象人数は30人以下です。常時使用する労働者数の区分ごとに額が変わります。
常時使用する労働者数 3%以上 5%以上 7%以上
30人超 1〜3人6万円/4〜6人12万円/7〜10人20万円/11〜30人は1人2万円(上限60万円) 24万円/48万円/80万円/1人8万円(上限240万円) 36万円/72万円/120万円/1人12万円(上限360万円)
10人以上30人以下 6万円/12万円/20万円/1人2万円(上限60万円) 48万円/96万円/160万円/1人16万円(上限480万円) 72万円/144万円/240万円/1人24万円(上限720万円)
10人未満 1〜3人6万円/4〜6人12万円/7〜9人20万円 60万円/120万円/200万円 90万円/180万円/300万円
福田
もう1つの割増賃金率引上げ加算についても教えてください。
白石みなと
月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げる場合は25万円。月45時間を超えて60時間以内の割増賃金率を5割以上とし、かつ交付申請後から事業実施予定期間の終期までのいずれか1箇月で時間外労働を労働者1人あたり10時間以上削減する場合は75万円。両方を追加すると100万円です。
福田
これらの加算は、成果目標の上限額とは別枠なんですか。
白石みなと
そこは公募情報に別枠かどうかの明記がなく、確認できませんでした。正確な取扱いは、申請前に窓口へ確認するのが確実です。

申請期限とスケジュール

福田
受付期間を改めて確認させてください。
白石みなと
交付申請期限は令和8年4月13日(月)から令和8年11月30日(月)午後5時までです。ただし国の予算額に制約されるため、期限前に受付を締め切る場合があると明記されているので、締切日まで余裕があると考えるのは危険です。早めの準備をおすすめします。
福田
交付決定を受けたあとの流れも教えてください。
白石みなと
事業実施期間は、交付決定の日から令和9年1月31日(日)までです。この間に改善事業を実施し、成果目標の達成を目指します。支給申請の期限については、この情報からは確認できませんでした。交付決定時に案内される内容をご確認いただくか、申請前に管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部へお問い合わせください。

成果目標は「選ぶ」だけでなく、書面に落ちていないと未達になります

福田
3つのうち1つを選べばよい、というのは分かりました。実際には何をすれば達成になるのでしょうか。
白石みなと
就業規則等と労使協定に、決められた項目を書くことです。ここが抜けたまま設備だけ入れると、未達成として扱われます。支給要領の書き方はこうです。

成果目標が未達成の指定事業場がある場合は、当該成果目標に関する助成額は支給されない。

福田
事業場が複数あるとき、1か所でも欠けたら。
白石みなと
その事業場ぶんが落ちます。すべての指定事業場で達成する必要があります。

(2)年次有給休暇の計画的付与を選ぶ場合

福田
就業規則に「計画的付与を導入する」と書けばよいのでしょうか。
白石みなと
それだけでは足りません。就業規則等に定めることに加えて、労使協定に次の5つを定める必要があります。
# 労使協定に定めること
1 年休の計画的付与の対象者
2 対象となる年次有給休暇の日数
3 年休の計画的付与の具体的な方法
4 年次有給休暇の付与日数が少ない者の扱い
5 計画的付与日の変更に係る事項
福田
4番と5番が抜けそうです。
白石みなと
抜けます。入社したばかりで付与日数が少ない人をどう扱うのか、決めた日を変えたいときにどうするのか。運用で困る場面を先に書いておけ、という設計です。
福田
届出のタイミングは。
白石みなと
常時10人以上の労働者を使用する指定事業場では、交付申請後から事業実施予定期間の終期までの期間に、その就業規則を所轄労働基準監督署長に届け出て、施行してください。

(3)時間単位年休と特別休暇を選ぶ場合

福田
こちらはどうでしょうか。
白石みなと
ア・イ・ウの3つをいずれも満たす必要があります。時間単位年休について就業規則等に定めること、労使協定に4項目を定めること、そして特別休暇について就業規則等に5項目を定めることです。
何について 定めること
時間単位年休(労使協定) 対象となる労働者の範囲/時間単位年休の日数(特別休暇を時間単位で導入する場合は5日とする)/時間単位年休を取得した日の1日の所定労働時間数/1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
特別休暇(就業規則等) 対象となる特別休暇の名称/対象者/特別休暇の日数/特別休暇取得の際の賃金の計算方法(労基法39条9項所定の計算方法に準じたものとする)/休暇申請方法
福田
特別休暇は無給でもよいのでしょうか。
白石みなと
有給の休暇であることが必要です。設定改善指針に規定された、特に配慮を必要とする労働者に対する有給の休暇をいう、と定義されています。
福田
ここでいちばん間違えやすいのはどこですか。
白石みなと
「会社が認めた場合に取得できる」と書いてしまうことです。支給要領がはっきり否定しています。

中小企業事業主が取得の可否を任意に決定することができる定めについては、中小企業事業主の恣意により特別休暇の取得を須く拒否することも可能であるから、特別休暇を導入したものとは認められない。

福田
運用上そう書きたくなる会社は多そうです。
白石みなと
多いです。取得日数の上限や取得時期、時季変更に係る制限を設けること自体は可能ですが、その制限が客観的なものであり、かつ各種法令・ガイドライン等の趣旨に反しない範囲に限られます。「会社が認めたら」は客観的な制限ではありません。

(1)時間外・休日労働の上限設定を選ぶ場合の落とし穴

福田
36協定を出し直せばよいのですよね。
白石みなと
選べない会社があります。支給要領にこうあります。

令和8年1月1日以後の期間のみを対象期間とし、初めて36協定を届け出る中小企業事業主は、本成果目標を選択することができない。

福田
これから初めて36協定を出す会社は選べない。
白石みなと
選べません。この目標は「いまある上限を下げる」ものなので、下げる前の状態が無い会社は対象になりません。その場合は(2)か(3)を選ぶことになります。
福田
建設業の場合は。
白石みなと
1つ除かれるものがあります。「災害時における復旧及び復興の事業」に係る36協定の時間外・休日労働時間数の削減は、この成果目標の対象とはなりません。九州は災害復旧の工事が続いている地域がありますので、ここは確かめてください。

交付決定の前に契約すると、その分は消えます

福田
交付決定を待たずに動いてよいものはありますか。
白石みなと
契約はだめ、見積は可です。支給要領にこう書かれています。

交付決定の前に改善事業に係る契約行為等を行った場合、当該契約行為等に係る内容を改善事業に含めることはできない。ただし、契約行為等の準備として、例えば物品の売買契約に係る見積りを交付申請前に取得することなどは差し支えない。

福田
見積は先に取ってよいと。
白石みなと
取ってください。交付申請には金額の根拠が要ります。取ってよいのは見積まで、動かしてよいのは交付決定の後です。この順番の話は交付決定の前に発注してしまったときの解説にまとめています。
福田
働き方改革で思いつく取組が、実は対象外というものもありますか。
白石みなと
あります。しかも思いつきやすいものばかりです。
対象外になるもの 支給要領の区分
LED電球への交換 単なる経費削減を目的とした内容
スポットクーラーの設置、空調服の購入、オフィスのエアコンの更新 単なる労働者の不快感の軽減や作業快適化を目的とした内容
執務室の拡大、内装工事等の改築費用、机・椅子の増設 同上
36協定の作成・届出、フォークリフトの特定自主検査 法令等で義務づけられている措置に係る内容
海外の自社工場への労務管理システム導入 日本国外で実施する内容
福田
職場環境を良くする話に見えますが。
白石みなと
この助成金が見ているのは労働時間だからです。快適さではなく、労働時間が実際に減るか、休暇が実際に取れるようになるか。そこに結びつかない支出は、どれだけ従業員のためになっても対象になりません。

公式情報・問い合わせ先

福田
問い合わせ先を教えてください。
白石みなと
公募情報には、企業の所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)とだけ案内されています。電話番号や受付時間の記載は公募情報にはありませんので、詳細はお近くの労働局へ直接お問い合わせください。
福田
最後に、正確な情報はどこで確認できますか。
白石みなと
厚生労働省が公開しているこの制度の紹介ページが出典です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html

福田
ありがとうございました。
白石みなと
本記事は厚生労働省の公開情報をもとにしています。制度の内容・締切・予算の状況は変更されることがありますので、申請前には必ず最新の資料をご確認ください。

なお、対象になり得るかどうかは事業場ごとの労働時間管理の状況によって個別の判断になりますので、「対象です」と断定はできません。また、本助成金の支給申請書の作成代行・提出代行は社会保険労務士の独占業務です。当方では申請書の作成・提出の代行は行っておりません。制度情報の提供と、必要に応じた社会保険労務士のご紹介までとさせていただきます。

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白石みなと
この制度は全国が対象で、特定の自治体の企業に絞った制度ではありません。そのため同一自治体の他制度からの案内はできませんが、代わりに同じ厚生労働省が実施する働き方改革関連の助成金を紹介します。対象になる要件はこの制度とはそれぞれ異なりますので、対象になり得るかは各制度のページで個別にご確認ください。併用の可否も各制度の実施機関にご確認ください。
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