補助金の事業計画書に何を書くか|審査に通る組み立て方
公開日 2026-09-12

1. 結論から:「困りごと→変化→根拠」の順で書く
福田(聞き手)
事業計画書と聞くと、何から手をつければいいのか分からなくなります。まず結論だけ聞かせてください。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
順番はこうです。まず自社が何に困っているかを書き、次にその困りごとが今回の取り組みでどう変わるかを書き、最後にその変化を裏付ける数字や根拠を添えます。「やりたいこと」を最初に書いてしまうと、審査する人には思いつきに見えてしまいます。困りごとから始めれば、取り組みが必要な理由が先に伝わります。
2. 審査するのは、その業界に詳しい人とは限らない
福田(聞き手)
業界特有の事情なら、細かく説明しなくても伝わる気がしてしまいます。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そこが誤解しやすいところです。審査する担当者は、応募してくるすべての業界に精通しているとは限りません。業界内でしか通じない専門用語や略語をそのまま使うと、意味が伝わらないまま読み飛ばされてしまう可能性があります。同業者に説明するときの言葉と、審査する人に説明するときの言葉は、分けて考えてください。
3. 「やりたいこと」ではなく「困っている→変わる」の順で書く
福田(聞き手)
新しい設備やシステムを入れたい、という気持ちが先にあるので、つい「導入したいこと」から書き始めてしまいます。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
それは自然な順番ですが、審査する人が最初に知りたいのは「今、何に困っているか」です。困りごとが先に無いまま「導入したいこと」を書くと、なぜその取り組みが必要なのかという理由が抜け落ちます。書く順番は、まず現状の困りごと、次にその取り組みによって何がどう変わるか、という流れにしてください。「導入したいこと」自体は、その変化を実現する手段として後から出てくる形が自然です。
4. 見出しは、公募要領の「審査項目」からそのまま作る
福田(聞き手)
見出しは何を目安に立てればいいのでしょうか。自由に考えていいのか、決まった形があるのか迷います。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
一から自分で考える必要はありません。公募要領には、たいてい「審査の観点」「評価項目」といった章があり、審査する人が何を確認するかが箇条書きで示されています。その項目をそのまま見出しに使い、各項目の下にそれぞれ答えを書いてください。審査項目に沿った見出しであれば、審査する人は自分が確認したい情報を迷わず見つけられます。逆に、自分の言葉だけで自由に見出しを作ると、事業計画書のどの部分がどの審査項目に答えているのかが分かりにくくなります。
5. 数字は、根拠とセットで初めて意味を持つ
福田(聞き手)
売上の見込みや効果を数字で示すと説得力が増す、とよく言われます。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
数字そのものより、その数字がどこから出てきたかのほうが重要です。見積書のどの金額を使ったのか、過去の実績のどの期間を基にしたのか、単価はどの資料から引用したのかを、数字と並べて書いてください。出どころを示さない数字は、審査する人からすると「そう言っているだけ」に見えてしまいます。逆に、根拠となる資料名や期間を添えるだけで、同じ数字でも説得力の重みが変わります。
6. 「書けない」は、計画が固まっていないサインとして扱う
福田(聞き手)
書いている途中で、この項目は何も思いつかない、という箇所に当たることがあります。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
それは書き方の問題ではなく、計画そのものがまだ固まっていない合図だと考えてください。困りごとがあいまいなまま変化を書こうとしたり、根拠のない数字を無理に埋めようとしたりすると、必ずどこかで手が止まります。書けない箇所を言葉だけで無理に埋めるのではなく、その手前の工程、つまり困りごとの整理や、根拠になる見積・実績の収集に一度戻ることをお勧めします。書けない箇所が見つかったこと自体を、計画を見直す機会として扱ってください。
7. 設備投資・省力化の申請にも、同じ順番が使える
福田(聞き手)
設備投資や省力化のための補助金を考えているのですが、ここまでの話はそのまま当てはまりますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
そのまま当てはまります。設備投資や省力化を対象にした補助金には、国の制度もあれば、都道府県や市区町村が独自に設けている制度もあります。制度によっては、通常の申請の枠と、あらかじめ登録された機械やシステムから選ぶ枠のように、複数の型が用意されている場合もあります。枠が違っても、審査する人が確認したいことは変わりません。「今、何に困っているか」「その設備を入れることで何がどう変わるか」「その変化をどんな根拠で示せるか」という順番です。どの枠が使えるか、お住まいの地域で使える制度があるか、リースや中古品が対象になるかは制度ごとに異なるため、公募要領での確認が必要ですが、事業計画書の組み立て方自体はここまで述べた順番から変わりません。
福田(聞き手)
発注のタイミングなど、買い方で気をつける点もありますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
買う順番も、根拠集めの一部として扱ってください。多くの制度では、交付決定より前に発注や契約を済ませてしまうと対象外になります。事業計画書の中に発注時期を書く欄がある制度では、この順番も審査で確認される項目の一つです。何が対象で何が対象外かは、必ず公募要領で確認してください。
よくある質問
Q. 事業計画書は、決まったテンプレートに沿って書けば審査に通りますか。 テンプレートは書く順番の目安にはなりますが、審査に通るかどうかは審査項目に実際に答えられているかで決まります。空欄を埋めること自体を目的にしないよう注意してください。
Q. 数字の根拠となる資料がまだ用意できていません。どうすればよいですか。 それは、まだ根拠を集める段階にあるということかもしれません。根拠が無いまま数字だけを書いて提出するのではなく、見積書の取得や実績データの整理といった、根拠を集める工程に一度戻ることをお勧めします。
Q. 事業計画書の作成を、専門家に代わりに書いてもらうことはできますか。 申請書類の作成・提出の代行は、社会保険労務士など専門資格者の業務にあたる場合があります。DXCJでは代行は行っておらず、情報提供や相談先の案内までを行っています。書き方そのものの相談は、社会保険労務士や労働局、ハローワークへの相談も選択肢になり得ます。
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具体的な経費区分や上限額、審査項目の細かな配点は制度ごとに異なります。設備投資に使える制度やデジタル化に使える制度から、該当しそうな制度のページで確認してください。どの制度が自社に合うか分からない場合は、補助金・助成金の一覧からキーワードや地域で絞り込むこともできます。