OFF-JTとOJTの違いとは?助成金での対象経費・記録の要件を解説
公開日 2026-09-04 / 最終更新日 2026-09-08

結論から
先に押さえておくべきことがあります。人材育成支援コースでは、OJTは単独では助成の対象になりません。 OFF-JTと組み合わせたうえで、認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練・中高年齢者実習型訓練のいずれかとして実施するものが助成の対象とされています。「OJTだけで進める計画」は、このコースの対象訓練に当たりません。
この2つは似た言葉に見えますが、助成金の上では扱いが大きく違います。対象になる経費の種類も、残しておくべき記録の内容も、OFF-JTかOJTかによって変わります。計画している訓練のどの部分がOFF-JTで、OJTを組み合わせるのかを、申し込みより前に整理しておく必要があります。
具体的な経費の金額や助成率は、この記事には書きません。制度ごとに違い、年度によっても変わるためです。ここでは、区分そのものの考え方を整理します。
1. OFF-JTとOJT、境目は「業務から離れているか」
- OFF-JT……通常の業務を止めて行う訓練。集合研修、外部の会場で行うセミナー、社内の会議室に集まって行う講義形式の研修などが当てはまり得ます。
- OJT……通常の業務を続けながら、その中で行う訓練。上司や先輩社員の指導のもとで、実際の仕事を通じて学ぶ形が中心になります。資料では「適格な指導者の指導の下、事業主が行う業務の遂行の過程内における実務を通じた実践的な技能及びこれに関する知識の習得に係る訓練等」と定義されています。
同じ「研修」という言葉で語られていても、この境目のどちら側にあるかで、助成金の上での扱いが分かれます。まず自社が計画している訓練が、どちら寄りなのかを整理するところから始めることになります。
2. ★対象になる経費も、要る記録も変わる
人材育成支援コースの事業内訓練(社内で実施する訓練)で対象になる経費は、①部外講師への謝金・手当、②部外講師の旅費、③施設・設備の借上費、④教科書・教材の購入費または作成費、⑤訓練コースの開発費です(案内PDFの41ページ)。いずれも、支給申請までに申請事業主が全額を負担していることが条件です。外部の教育機関に委託する事業外訓練は、対象経費の区分が異なります。OJTには経費助成の区分がなく、実施した訓練に対する定額の助成という別の形になっています。
必要な記録も同様です。OFF-JTであれば、カリキュラムや出席状況といった訓練としての実施記録が中心になります。OJTでは記録の書式が定められており、実施日ごとに、訓練を受ける対象労働者が「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)(様式第9号)」を作成します。訓練終了後には、ジョブ・カード様式3-3-1-1「職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用)」で職業能力の評価を行うことも求められます。「研修だから同じ書式でよい」とは考えず、区分ごとに何を記録すべきかを、狙っている制度の要領で確認する必要があります。
3. 外部委託と社内実施で、扱いが変わる
社内で詳しい社員が教える、先輩が現場で教える、といった取り組み自体に価値がないわけではありません。ただし、外部から確認できる形で記録が残っているかどうかが、対象になるかどうかを分ける要素になります。
実施の方法にも定めがあります。人材育成支援コースのOJTは、原則として対面で行います。ただし、労務管理・経理・書類作成・プログラム関連・システム開発・各種設計の各業務にかかるOJTは、テレワーク等のオンラインで実施できます。
4. 講師・カリキュラム・時間数は、どちらの区分でも記録が要る
OFF-JTであれば、講師の経歴や使用した教材、実施した日時と時間、受講者の出席状況などが記録の対象になり得ます。OJTであれば、実施日ごとの「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)」(様式第9号)を、訓練を受ける対象労働者が作成します。なお、OJT訓練指導者は申請事業主の役員等または申請事業主に雇用されている者に限られ、訓練実施日の指導者の出退勤時刻が確認できない場合は、OJTを実施したと認められません。
これらは訓練が終わってから慌てて用意するものではありません。訓練を計画する段階から、どう記録していくかを決めておくことが必要です。
5. eラーニングは、どちらに整理されるか
eラーニングを訓練として認めるかどうか、認める場合にどのような記録を求めるか(学習時間が自動で記録される仕組みかどうか等)は、制度ごとに条件が分かれるところです。受講した範囲や時間がその都度変わるような定額制のサービスは、決まったカリキュラムとして切り出しにくいため、そもそも訓練として扱われるかどうかが制度によって分かれることもあります。
自社が使っている、あるいは検討している教材がeラーニング形式であれば、その教材の記録の残り方を、狙っている制度の要件と照らし合わせる必要があります。ここは一般論だけで判断できない部分です。
6. 区分を取り違えたまま進めると、あとから対象外になり得る
区分を取り違えたまま訓練を実施してしまうと、必要な記録が残っていない、対象になる経費の考え方が違っていた、といった理由で、申請の段階になって対象外と判断されることがあります。訓練が終わったあとに区分だけを直すことはできません。
計画の段階で、この訓練はOFF-JTかOJTかを確認し、その区分に応じた記録の準備をあらかじめ整えておくことが、あとから対象外になるのを避ける一番確実な方法です。判断に迷う場合は、狙っている制度の窓口に、訓練の実施方法を具体的に説明したうえで確認するのが安全です。
よくある質問
Q. OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練計画は作れますか。 人材育成支援コースでは、組み合わせることが前提です。OJTは単独では対象にならず、OFF-JTと組み合わせて、認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練・中高年齢者実習型訓練のいずれかとして実施します。その場合も、OFF-JT分・OJT分を区別した記録が必要になるため、計画段階から両方の記録の取り方を分けて整理しておくことをおすすめします。
Q. 社内の会議室で行う研修は、OFF-JTになりますか。 実施場所そのものより、通常の業務を離れて行っているかどうかが判断の基準になります。社内の会議室であっても、業務を止めて集合形式で行う研修であればOFF-JTに当たり得ます。逆に、現場で実際の業務をしながら教える形であれば、場所が社内であってもOJTに近い扱いになり得ます。
Q. 区分の判断や記録の整え方を、社会保険労務士に相談できますか。 助成金の申請書の作成・提出の代行は、社会保険労務士の独占業務です。当サイトは制度の情報をお伝えするところまでで、代行は行いません。区分の判断や記録の整え方を相談したい場合は、社会保険労務士や、各県の労働局・ハローワークの窓口が入口になります。
次に読む
研修・人材育成に使える制度を具体的に探すなら、目的から見るのが近道です。
この記事の内容は、人材開発支援助成金の人材育成支援コースの資料(令和8年度版)で確認したものです。他のコース・他の制度では異なることがあり、年度によっても変わります。申し込みの前には必ず、狙っている制度の最新の募集要領・支給要領をご確認ください。