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生成AI研修が助成の対象外になる線引き|人材開発支援助成金の令和8年改正

公開日 2026-09-04

生成AI研修が助成の対象外になる線引き|人材開発支援助成金の令和8年改正

結論から

福田(聞き手)
人材開発支援助成金が改正されたと聞きました。生成AIの研修を考えている会社は、何を見ておけばよいでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
厚生労働省は令和8年8月3日、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを改正しました。変わったのは2点です。
  1. DX化・GX化の訓練について、助成の対象とならない訓練の範囲が変わった
  2. 受講回数に上限が付いた(同一の労働者・一の年度で3回まで、うちeラーニングは1回まで)

生成AIの研修を検討している会社にとって重要なのは1つ目です。「生成AIを学ぶ研修」がひとくくりで扱われなくなり、対象になるものとならないものの線が、厚生労働省自身の例示ではっきり示されました。

なお、この記事は改正の内容を一次資料に沿って整理したものです。個々の会社が対象になるかどうかは、訓練の中身と実施の形によって変わります。

1. 対象とならない訓練の範囲が変わった

福田(聞き手)
どこが変わったのか、原文で見せてもらえますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
改正後、本コースのDX化・GX化に関する訓練のうち、次の目的の訓練は助成対象外とされました。原文どおり引用します。

○職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの ○職業、または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要なるもの

読み替えると、「その人の仕事に、直接、そのまま使えるか」が線になったということです。教養として役に立つ、いずれ効いてくる、という種類の訓練は外れます。

2. 生成AI研修について、厚生労働省が示した具体例

福田(聞き手)
生成AIの研修は、その線のどちら側になるのでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
同じ資料に、判断の具体例が載っています。生成AIの研修が両側に出てくるのが、この改正のいちばん分かりやすいところです。
厚生労働省が示した訓練の例 示された扱い
生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練 助成対象
生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練 助成対象外
DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練 助成対象外

理由も添えられています。1つ目は「営業担当者の具体的な業務に直結しており、そのまま活用可能な内容であるため」。2つ目は「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため」。

つまり、扱っている題材が生成AIかどうかでは決まりません。「誰の、どの業務に、そのまま使えるか」まで具体化されているかどうかで分かれています。

一般的な「生成AI入門研修」「プロンプトエンジニアリング講座」は、内容がどれだけ良くても2つ目に寄ります。逆に、自社の営業資料の作成手順を生成AIでどう組み替えるか、というところまで踏み込んだ研修は1つ目に近づきます。

3. ★見落としやすい3つ目のポイント:誰に受けさせるか

福田(聞き手)
研修の中身を具体的にすれば、あとは大丈夫ということですか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
もう一つあります。資料には、確認すべき点が3つ挙げられています。前の2つはここまでで触れたものです。
  1. 特定の職業、または職務に必要となる知識・技能を習得するためのものか
  2. マナー、リテラシー、概念理解にとどまっていないか
  3. 訓練内容に沿って対象労働者を選定しているか

3つ目は、訓練の中身の話ではありません。受講者の選び方の話です。

GX側の例が分かりやすいので引用します。自社のエネルギー使用量データの収集方法やCO₂排出量算定ルールに基づく計算手順を学ぶ訓練について、資料はこう分けています。

  • CO₂排出量算定業務を担当する者を対象とする場合 … 助成対象
  • 人事や営業に従事する者を対象とする場合 … 助成対象外

同じ研修を、同じ会社で実施しても、誰に受けさせたかで扱いが変わります。「良い研修だから全社員に受けさせよう」という進め方は、この改正のあとでは対象から外れる方向に働きます。

生成AIの研修でも同じ考え方になります。営業向けの提案書作成の訓練であれば、受けるのは営業担当者である必要がある、ということです。

4. 受講回数に上限が付いた

福田(聞き手)
もう1点の変更、受講回数の上限についても教えてください。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
本コースで助成が受けられる訓練の受講回数は、同一の労働者に対して一の年度で3回までとされました。このうち、eラーニングによる訓練は同一の労働者に対して一の年度で1回までです。

補足として、次の点が示されています。

  • ここでいう年度は、支給申請日を基準として、4月1日から翌年3月31日まで
  • 複数の実施方法を組み合わせて訓練を実施する場合も、eラーニングとして数える
  • 数え方の対象になるのは、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練の受講のみ

資料には数え方の図も付いています。eラーニングが上限を超えて不支給になった回は、コース全体の回数には算入されません(次の訓練が3回目として扱われます)。

eラーニングを主に使って計画している場合は、ここが効いてきます。年度内に何度も受けさせる前提の組み立ては、実施方法を分ける必要があります。

5. いつからの話か

福田(聞き手)
すでに準備を進めている訓練は、どちらの扱いになりますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
この変更には経過措置があります。資料には「詳しくは支給要領・パンフレットをご確認ください」と書かれており、この1枚だけでは適用の境目まで分かりません。計画届の提出時期によって扱いが変わるため、検討中の訓練がある場合は、労働局に提出時期を伝えたうえで確認してください。

一次資料

この記事は、厚生労働省が公表した次の資料をもとにしています。表の引用も同じ資料からです。

制度そのものの最新の内容は、厚生労働省の人材開発支援助成金のページでご確認ください。手続きの相談先は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局・ハローワークです。

なお、助成金の申請書の作成・提出の代行は社会保険労務士の独占業務です。当サイトは制度の情報をお伝えするところまでで、代行は行いません。

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