生成AI研修が助成の対象外になる線引き|人材開発支援助成金の令和8年改正
公開日 2026-09-04

結論から
- DX化・GX化の訓練について、助成の対象とならない訓練の範囲が変わった
- 受講回数に上限が付いた(同一の労働者・一の年度で3回まで、うちeラーニングは1回まで)
生成AIの研修を検討している会社にとって重要なのは1つ目です。「生成AIを学ぶ研修」がひとくくりで扱われなくなり、対象になるものとならないものの線が、厚生労働省自身の例示ではっきり示されました。
なお、この記事は改正の内容を一次資料に沿って整理したものです。個々の会社が対象になるかどうかは、訓練の中身と実施の形によって変わります。
1. 対象とならない訓練の範囲が変わった
○職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの ○職業、または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要なるもの
読み替えると、「その人の仕事に、直接、そのまま使えるか」が線になったということです。教養として役に立つ、いずれ効いてくる、という種類の訓練は外れます。
2. 生成AI研修について、厚生労働省が示した具体例
| 厚生労働省が示した訓練の例 | 示された扱い |
|---|---|
| 生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練 | 助成対象 |
| 生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練 | 助成対象外 |
| DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練 | 助成対象外 |
理由も添えられています。1つ目は「営業担当者の具体的な業務に直結しており、そのまま活用可能な内容であるため」。2つ目は「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため」。
つまり、扱っている題材が生成AIかどうかでは決まりません。「誰の、どの業務に、そのまま使えるか」まで具体化されているかどうかで分かれています。
一般的な「生成AI入門研修」「プロンプトエンジニアリング講座」は、内容がどれだけ良くても2つ目に寄ります。逆に、自社の営業資料の作成手順を生成AIでどう組み替えるか、というところまで踏み込んだ研修は1つ目に近づきます。
3. ★見落としやすい3つ目のポイント:誰に受けさせるか
- 特定の職業、または職務に必要となる知識・技能を習得するためのものか
- マナー、リテラシー、概念理解にとどまっていないか
- 訓練内容に沿って対象労働者を選定しているか
3つ目は、訓練の中身の話ではありません。受講者の選び方の話です。
GX側の例が分かりやすいので引用します。自社のエネルギー使用量データの収集方法やCO₂排出量算定ルールに基づく計算手順を学ぶ訓練について、資料はこう分けています。
- CO₂排出量算定業務を担当する者を対象とする場合 … 助成対象
- 人事や営業に従事する者を対象とする場合 … 助成対象外
同じ研修を、同じ会社で実施しても、誰に受けさせたかで扱いが変わります。「良い研修だから全社員に受けさせよう」という進め方は、この改正のあとでは対象から外れる方向に働きます。
生成AIの研修でも同じ考え方になります。営業向けの提案書作成の訓練であれば、受けるのは営業担当者である必要がある、ということです。
4. 受講回数に上限が付いた
補足として、次の点が示されています。
- ここでいう年度は、支給申請日を基準として、4月1日から翌年3月31日まで
- 複数の実施方法を組み合わせて訓練を実施する場合も、eラーニングとして数える
- 数え方の対象になるのは、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練の受講のみ
資料には数え方の図も付いています。eラーニングが上限を超えて不支給になった回は、コース全体の回数には算入されません(次の訓練が3回目として扱われます)。
eラーニングを主に使って計画している場合は、ここが効いてきます。年度内に何度も受けさせる前提の組み立ては、実施方法を分ける必要があります。
5. いつからの話か
一次資料
この記事は、厚生労働省が公表した次の資料をもとにしています。表の引用も同じ資料からです。
制度そのものの最新の内容は、厚生労働省の人材開発支援助成金のページでご確認ください。手続きの相談先は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局・ハローワークです。
なお、助成金の申請書の作成・提出の代行は社会保険労務士の独占業務です。当サイトは制度の情報をお伝えするところまでで、代行は行いません。
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研修の中身を決める前に、どの制度を狙うかを先に見ておくと回り道が減ります。