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人材開発支援助成金(長期教育訓練休暇等制度)とは?賃金助成が出るのは片方だけ

人材開発支援助成金(長期教育訓練休暇等制度)とは?賃金助成が出るのは片方だけ

制度概要

対象地域
全国
主な対象者
制度導入・適用計画届に基づき、長期教育訓練休暇制度または教育訓練短時間勤務等制度を新たに導入し、計画期間内に実際に被保険者へ適用する事業主。対象労働者は雇用保険被保険者

対象となる可能性がある事業者の例です。詳細な要件は本文および公式ページでご確認ください。

補助率
賃金助成(長期教育訓練休暇制度のみ)1人1時間あたり1,000円、大企業800円(大企業が賃金要件・資格等手当要件を満たす場合+200円)。制度導入助成は1事業主1回限り20万円(同+4万円)
上限額
24万円(制度導入助成20万円、賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は+4万円。ほかに長期教育訓練休暇制度は賃金助成あり)
申請期限
データなし

公開日 2026-09-09 / 最終更新日 2026-09-09 / 情報確認日 2026-09-09 / 公式ページを見る

福田(聞き手)
白石さん、以前うかがった「教育訓練休暇等付与コース」と、この「長期教育訓練休暇等制度」は、名前がよく似ていますね。同じものでしょうか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
別のコースで、規模がまるで違います。教育訓練休暇等付与コースは、有給の教育訓練休暇の制度を新しく作って使わせるもので、必要な日数は多くありません。こちらは人への投資促進コースの中のメニューで、所定労働日で30日以上の長期休暇を取れる制度が対象です。要領は、教育訓練のために必要な有給・無給の長期の休暇を就業規則等で措置して被保険者に与える制度、と定義しています。ここでいう休暇には、労働基準法39条の年次有給休暇は含みません。名前が似ているせいで取り違えが起きやすいところですので、まず日数を見て、どちらの話をしているのかを確かめてください。
福田
30日以上ですか。1人が1か月抜けるということですよね。中小企業には、なかなか思い切りが要ります。
白石みなと
そうです。そのぶん賃金助成が付きます。ただしこのメニューには2つの型があり、賃金助成が出るのは片方だけです。長期の休暇を与える「長期教育訓練休暇制度」と、勤務時間を短くする「教育訓練短時間勤務等制度」で、どちらも制度導入助成は同額ですが、賃金助成があるのは休暇のほうだけになります。ここが最初の分かれ道です。短時間勤務のほうも、所定労働時間の短縮と所定外労働時間の免除を就業規則等で措置して、自発的な職業能力開発の機会を確保するという建て付けは同じです。

2つの型と、もらえるものの違い

福田
2つの型を並べて見せてください。金額はどのくらい違うのでしょうか。
白石みなと
制度導入助成は1事業主あたり20万円で、企業規模にかかわらず同額、しかも1回限りです。賃金要件または資格等手当要件を満たすと24万円になります。1回限りというのは、事業主(企業)単位ですので、両方の型を導入しても2回はもらえないとお考えください。中小企業を手厚くする助成金が多い中で、この導入助成は企業規模で差が付きません。規模の大小より、制度を作るという行為そのものに対して出るという考え方だとご理解ください。
長期教育訓練休暇制度 教育訓練短時間勤務等制度
制度の中身 教育訓練を受けるための長期の休暇(有給・無給いずれも可。年次有給休暇は除く) 所定労働時間の短縮と、所定外労働時間の免除の両方
制度導入助成 20万円(要件を満たせば24万円) 20万円(要件を満たせば24万円)
賃金助成 あり(1人1時間あたり中小企業1,000円、大企業800円) なし
導入時に必要な規模 30日以上の休暇の取得が可能な制度 30回以上の短縮・免除が利用できる制度
福田
賃金助成のほうに上限はありますか。人数を増やせば増やすほど出る、ということはないと思うのですが。
白石みなと
1人あたりの対象時間数に上限があります。中小企業は1,600時間、大企業は1,200時間です。一方で賃金助成の対象になる人数に上限はありません。大企業が賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は、1人1時間あたり200円が上乗せされます。中小企業にはこの上乗せがありませんが、これはあらかじめ高額に設定しているためだと説明されています。1,600時間という枠は、1日8時間で数えると200日ぶんです。30日の休暇であれば、1人で使い切る心配はまずありません。
福田
先ほど、休暇は有給でも無給でもよいとおっしゃいましたね。無給でも助成が出るのでしょうか。
白石みなと
制度としては有給でも無給でも構いません。ただし賃金助成を受けるなら有給である必要があります。賃金助成は、休暇を取得した日に、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上を支払う場合に支給されるものだからです。無給の制度を作れば導入助成の20万円までで、賃金助成には届かないという関係になります。要領も、事業主の要件として置いている「通常の賃金の額を支払っていること」は、有給の長期教育訓練休暇を与える事業主の場合に限るという書き方をしています。

30日以上、うち10日以上は連続

福田
実際に使わせるときの条件を教えてください。制度を作って就業規則に載せるだけでは駄目、ということですよね。
白石みなと
作るだけでは出ません。計画期間内に実際に適用し、社員が実際に取得することが要件です。導入するときの制度そのものにも決まりがあり、長期教育訓練休暇制度なら、30日以上の休暇の取得が可能な制度を、施行日を明記して就業規則または労働協約に規定し、日単位で取得できるものにする必要があります。日単位に加えて時間単位でも取れる制度にすることは差し支えありません。そのうえで、取得のさせ方に次の決まりがあります。
適用時に必要なこと 内容
日数 所定労働日において、合計30日以上の長期教育訓練休暇を付与すること
連続 所定労働日において、1日単位の休暇を10日以上連続して1回以上付与すること
期間 休暇取得開始日と最終休暇取得日が、いずれも制度導入・適用計画期間内であること
中身 職業訓練・教育訓練・各種検定またはキャリアコンサルティングを受けた日数が、休暇取得日数の2分の1以上であること
福田
30日を細切れに与えるのでは足りない、ということですね。繁忙期を避けて分散させたい、と考える会社は多そうですが。
白石みなと
そこが要です。合計30日に加えて、10日以上の連続した休暇が1回は必要です。1日ずつ30回に分けても要件を満たしません。そして休んだ日数の半分以上は、実際に訓練や検定、キャリアコンサルティングを受けている必要があります。休暇を与えただけでは足りず、その中身まで見られる建て付けです。
福田
休暇を取る社員の側にも条件はありますか。入ったばかりの社員に使わせる、という形も考えられそうですが。
白石みなと
あります。休暇を取得する時点で、その事業所における被保険者である期間が連続して6か月以上必要です。入社してすぐの方には使えません。また制度の要件として、被保険者が業務命令でなく、自発的に教育訓練を受講できることが求められます。会社が「この研修を受けてこい」と命じて長期休暇を与える形は、この制度の想定ではありません。同じ人材開発支援助成金でも、業務命令で受けさせる訓練を助成するメニューとは、ここで向きが分かれます。

短時間勤務の型は、条件の立て方が違う

福田
もう一方の短時間勤務の型はどうでしょうか。30日も休ませるのは無理でも、こちらならという会社はありそうです。
白石みなと
日数ではなく回数と、訓練の連続性で見ます。導入時には、所定労働日において30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除のいずれもが利用できる制度を、就業規則等に施行日を明記して規定する必要があります。1日に複数回利用した場合は1回と数えます。所定労働時間の短縮は、1日につき1時間以上、所定労働時間未満の範囲で1時間単位で措置できるものにします。
福田
導入の条件は細かいですね。実際に使わせるときの条件のほうは緩いのでしょうか。
白石みなと
回数の条件は緩く、訓練の条件が厳しいという組み合わせです。制度導入・適用計画期間である3年の間に、1回以上の短縮および免除の措置を行えば適用の要件は満たします。ただしこの制度を利用して受ける教育訓練は、同一の教育訓練機関が行う一連の15日以上の訓練を含むものでなければなりません。短い講座をいくつも並べる形は想定されていません。
福田
制度の名前にある「短時間勤務等制度」の「等」は、何を指しているのでしょうか。
白石みなと
所定労働時間の短縮と、所定外労働時間の免除の2つです。要件では、このいずれも利用できる制度にすることが求められています。片方だけを措置した制度では要件を満たしません。残業を免除するだけ、時短にするだけ、のどちらでも足りないとご理解ください。

すでに休暇制度がある会社はどうなるか

福田
うちはもう休暇制度がある、という会社は使えないのでしょうか。
白石みなと
使える場合があります。新たに導入する場合が原則ですが、すでに長期教育訓練休暇制度を導入していて、その制度に基づいて有給の長期教育訓練休暇を取得させる事業主は、次のどちらかを満たせば対象になり得ます。
すでに制度がある場合の要件 内容
使われていないこと 直近の3事業年度に制度を適用した被保険者が3人未満であること、または直近の事業年度に適用した被保険者がいないこと
増やす取組をすること 制度の見直しを行うなど、休暇の取得者を増加するための具体的な取組を新たに事業内職業能力開発計画に規定すること
福田
「制度はあるが誰も使っていない」という状態が想定されているのですね。
白石みなと
そのとおりです。作ったきり動いていない制度を動かすところにも助成を向ける、という設計です。ただし制度導入助成のほうは、新たに制度を導入する場合に支給されるもので、事業主単位で1回限りです。すでに制度がある会社が使えるのは、主に賃金助成のほうになります。
福田
休む人の代わりを立てる負担についてはどうでしょうか。1人が30日抜けると、周りが持ちこたえられません。
白石みなと
そこに手当てが新設されています。長期教育訓練休暇を取得する職員の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給するなどの取組を行った場合、または業務を代替する労働者を新規雇用(派遣の受け入れを含む)で確保した事業主に対して、新規採用助成および職務代行助成が支給されます。令和8年4月1日から新設されたもので、詳細は教育訓練休暇等付与コースの詳細パンフレットに掲載されています。

手続きと申請の期限

福田
手続きの流れを教えてください。どこから動き出せばよいのでしょうか。
白石みなと
出発点は制度導入・適用計画届です。この計画に基づいて制度を導入し、計画期間内に適用します。就業規則または労働協約に制度の施行日を明記して規定し、制度施行日までに労働者へ周知すること、そして制度施行日までに管轄の労働基準監督署へ届け出たものであることが必要です。常時10人未満の労働者を使用する事業主は、制度施行日までに事業主と労働者代表者による申立書を作成することでも構いません。
福田
支給申請の期限はいつでしょうか。ここも型によって違うのでしょうか。
白石みなと
型によって起点が違います。長期教育訓練休暇制度は、支給要件を満たす休暇の最終取得日の翌日から2か月以内です。最終取得日が計画期間を超える場合は、計画期間の最終日を最終休暇取得日とみなします。教育訓練短時間勤務等制度は、制度導入・適用計画期間(制度導入日から3年)内であって、支給要件を満たす制度の最初の適用日の翌日から2か月以内です。片方は最後、片方は最初が起点ですので、取り違えないでください。表にすると次のようになります。
型 支給申請の期限
長期教育訓練休暇制度 支給要件を満たす休暇の最終取得日の翌日から2か月以内(最終取得日が計画期間を超える場合は、計画期間の最終日を最終休暇取得日とみなす)
教育訓練短時間勤務等制度 制度導入・適用計画期間(制度導入日から3年)内であって、支給要件を満たす制度の最初の適用日の翌日から2か月以内
福田
休暇を取る社員が複数いる場合は、まとめて申請することになりますか。
白石みなと
有給の長期教育訓練休暇を付与する事業主で、複数人の支給対象者がいる場合は選べます。2人目以降の支給対象者の休暇の最終取得日の翌日から2か月以内にまとめて申請する方法と、各対象者の最終取得日の翌日から2か月以内にそれぞれ申請する方法のどちらかです。なおこのメニューには、受講者1人あたりの受講回数の制限はありません。
福田
最後に、これから検討する会社へ一言お願いします。
白石みなと
まず、どちらの型で行くかを決めてください。賃金助成がほしいなら長期休暇の型で、有給にする必要があります。制度だけ整えたいのであれば短時間勤務の型でも導入助成は同額です。そのうえで、30日と10日連続という数字が自社の人繰りで成り立つかを確かめてください。手続きの窓口は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局・ハローワークです。なお当社は申請書類の作成・提出の代行は行いませんので、就業規則の作成や届出については社会保険労務士にご相談ください。

あなたの会社に合う補助金を探してみませんか

白石みなと
同じ人材開発支援助成金の中から、あわせて見ておきたいメニューを挙げます。要件はメニューごとに異なります。1事業所1年度の限度額は人への投資促進コース全体で合算されます。併用の可否も含め、管轄の労働局にご確認ください。
制度名 実施機関 上限額 リンク
人材開発支援助成金(人への投資促進コース/自発的職業能力開発訓練) 厚生労働省 300万円 記事を読む
人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース) 厚生労働省 36万円 記事を読む
人材開発支援助成金(人材育成支援コース) 厚生労働省 1,000万円 記事を読む

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