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人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)とは?100人未満なら1人5日でよい

人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)とは?100人未満なら1人5日でよい

制度概要

対象地域
全国
主な対象者
雇用保険適用事業所の事業主で、3年間に5日以上取得できる有給の教育訓練休暇制度を就業規則または労働協約に新たに規定し、被保険者が自発的に教育訓練等を受けるために実際に取得させる事業主。既に有給または無給の教育訓練休暇制度を導入している事業主は対象外

対象となる可能性がある事業者の例です。詳細な要件は本文および公式ページでご確認ください。

補助率
定額(助成率という概念はなし)。制度導入・実施助成30万円、賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は6万円を加算
上限額
36万円(制度導入・実施助成30万円+賃金要件等を満たす場合の加算6万円。1事業主1回限り)
申請期限
データなし

公開日 2026-09-09 / 最終更新日 2026-09-09 / 情報確認日 2026-09-09 / 公式ページを見る

この助成金の結論

福田(聞き手)
白石さん、社員が自分で学びたいときに休みを取れる制度を作りたいと思っています。会社としては人件費が増えるだけのようにも見えるのですが、支援はありますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
人材開発支援助成金の教育訓練休暇等付与コースがあります。3年間に5日以上取得できる有給の教育訓練休暇制度を新たに導入し、実際に労働者が取得して教育訓練等を受けた場合に、30万円が支給されます。賃金要件または資格等手当要件を満たせば6万円が加算されて36万円です。1事業主に対して1度限りの支給になります。
福田
研修費の何割か、という形ではないのですね。受け取れる額が講座の値段で変わらないのは意外です。
白石みなと
違います。ここが他のメニューと根本的に異なるところです。訓練経費や研修費そのものを実費で助成する仕組みではありません。「制度を新しく作り、実際に使わせた」という実績に対して支払われる定額です。ですから、社員が受けた講座がいくらだったかは金額に影響しません。会社が負担するのは休暇中の賃金で、その仕組みを整えたことに対して30万円が出る、という建て付けです。対象経費の一覧や費用項目のような章が、そもそもパンフレットに存在しません。
福田
3年間の制度と聞くと、お金を受け取れるのもずいぶん先になりそうです。それまで待つ必要があるのでしょうか。
白石みなと
そこは違います。3年を待たずに申請できる道があります。原則は計画期間が終わってからですが、期間内に支給要件を満たして書類を出せる場合は、3年を経る前でも支給申請ができます。ただし制度導入日から起算して6か月を経過した日の翌日からという制限があります。パンフレットの例では、2026年5月1日に制度を導入し同年7月1日に要件を満たした場合、2026年11月2日以降に申請が可能とされています。制度を作って社員に使ってもらえば、半年余りで受け取れる可能性がある、ということです。

制度として認められるための五つの要件

福田
まず、どういう制度を作れば認められるのかを教えてください。就業規則をどう直せばよいかを知りたいです。
白石みなと
5つすべてを満たす必要があります。実務でとくに効いてくるのは②と③です。就業規則または労働協約に、制度の施行日を明記して規定する必要があり、個別の労働契約や、慣習的に休暇を与えているだけでは対象になりません。就業規則は制度施行日までに管轄の労働基準監督署へ届け出たものである必要があります。
# 制度の要件
① 被保険者を対象とした有給の教育訓練休暇制度であること
② 3年間に5日以上の取得が可能な有給の制度を、就業規則または労働協約に施行日を明記して規定すること
③ その就業規則または労働協約を、制度施行日までに雇用する労働者に周知すること(就業規則は施行日までに労働基準監督署へ届出)
④ 日単位で取得が可能なものであること
⑤ 被保険者が業務命令でなく、自発的に教育訓練・各種検定・キャリアコンサルティングのいずれかを受講できること
福田
当社は従業員が10人に満たないので、就業規則の届出義務がありません。その場合はどうすればよいでしょうか。
白石みなと
代わりの方法が用意されています。パンフレットには、常時10人未満の労働者を使用する事業主の場合、制度施行日までに、制度を規定した就業規則の実施について、事業主と労働者代表(雇用するすべての労働者の代表者)による申立書を作成することでも可能と書かれています。小規模な事業所が届出義務のないことを理由に外れないよう、逃げ道が用意されている形です。
福田
すでに似たような休暇制度を持っている会社は、どうなりますか。運用を見直せば対象になりますか。
白石みなと
対象外になります。ここは厳しい線です。既に有給または無給の教育訓練休暇制度(長期教育訓練休暇制度を含む)を導入済みの事業主は助成対象外とされています。さらに、制度導入・適用計画届の提出前に制度を導入している事業主も対象外です。つまり、「先に作ってから申請する」ことができません。順番を間違えると受け取れませんので、計画届を出す前に規定を施行しないでください。

何人に、何日取らせればよいのか

福田
実際に取らせる人数と日数の条件を教えてください。全社員に取らせる必要があるのでしょうか。
白石みなと
制度導入・適用計画期間である3年間の内に、企業全体で雇用する被保険者数に応じた人数へ、それぞれ5日以上を付与します。人数の判定は、制度導入・適用計画届を提出した時点の内容で行います。被保険者100人未満の企業なら、1人が5日取れば要件を満たします。
企業全体で雇用する被保険者数 最低適用被保険者数
100人以上の企業 5人
100人未満の企業 1人
福田
5日というのは、まるまる5日休ませる必要がありますか。半日ずつでは駄目でしょうか。
白石みなと
時間単位で付与しても構いません。パンフレットには、時間単位で付与した場合、当該休暇を取得した被保険者の1日の所定労働時間を1日としてカウントすると書かれています。実例も載っていて、所定労働時間が8時間の方が「3時間+4日+5時間」で合計5日と数えられています。シフト制で1日の所定労働時間が変動する場合は、休暇取得日における所定労働時間を1日として数えます。
福田
5日に届かなかった社員がいた場合は、その人の日数は切り捨てになるのでしょうか。
白石みなと
その人は人数に数えられません。パンフレットの図では、3時間しか取得しなかった方について「取得日数が5日未満なので、最低適用被保険者数に計上できない」と明記されています。5日取った人が何人いるかで判定される、ということです。なお従前の要領にあった「計画期間の初日から1年ごとの期間内に被保険者1人以上に休暇を付与する」という要件は廃止されました。3年の中でまとめて達成しても構わない形に緩和されています。

三年を待たずに受け取る

福田
先ほどの、3年を待たずに申請できるという話をもう少し詳しくお願いします。
白石みなと
支給申請の原則は、制度導入・適用計画期間の終了日、つまり制度導入日から3年の翌日から起算して2か月以内です。ただし計画期間内に支給要件を満たし、申請書類を提出できる場合には、3年を経る前であっても支給申請ができます。この場合も制度導入日から起算して6か月を経過した日の翌日からという条件が付きます。この規定は、従前の要領が適用される場合にも適用されます。
段階 期限(パンフレットの例:制度導入日が2026年5月1日の場合)
制度導入・適用計画届の提出 計画期間の初日(制度の施行日)から起算して6か月前から1か月前までの間
計画期間 2026年5月1日から2029年4月30日まで
原則の支給申請期間 2029年5月1日から6月30日までの2か月間
早期申請ができる場合 2026年7月1日に要件を満たしたなら、2026年11月2日以降
福田
計画届の提出先と、必要な書類も教えてください。出す時期にも決まりがありますか。
白石みなと
提出期間は制度導入・適用計画期間の初日から起算して6か月前から1か月前までの間です。この初日とは、原則として制度を規定した就業規則または労働協約の施行日を指します。提出先は主たる事業所を管轄する労働局で、都道府県によってはハローワークでも受け付けています。提出書類は、制度導入・適用計画届(訓練休暇様式第1号)と事前確認書(訓練休暇様式第7号)の2点です。
福田
出し方は選べますか。窓口へ出向く時間が取りにくいので、郵送で済ませたいところです。
白石みなと
窓口・郵送・電子申請の3つから選べます。ただし郵送は消印有効ではなく、労働局に到達した日が提出日になりますので、簡易書留など配達記録が残る方法で、余裕をもって送ってください。電子申請にはGビズIDが必要で、計画届を電子申請で出していない場合、変更届と支給申請を電子申請で行うことはできません。提出できる期間は訓練計画届の提出期間カリキュレータで計算の考え方を確かめられます。

休暇中に受けさせてよい訓練、だめな訓練

福田
休暇を取った社員が何を学ぶかについても、決まりはありますか。会社が口を出さない前提と聞こえますが。
白石みなと
2つの条件をどちらも満たす必要があります。被保険者が業務命令ではなく自発的に受講するものであること、そして事業主以外の者が行うものであることです。自社で企画した研修は、外部講師を招いた場合であっても対象になりません。なお教育訓練に加えて、職業能力検定と、キャリアコンサルタントが実施するキャリアコンサルティングも対象になります。逆に言えば、会社が学ぶ内容を決めてしまうと、⑤の「自発的に受講できること」から外れます。
福田
対象にならない例も知っておきたいです。あとから外れると分かると、社員にも申し訳が立ちません。
白石みなと
9つの類型で具体的に挙げられています。実務で引っかかりやすいものを抜き出しました。とくに年次有給休暇を取得して受講したものは対象外で、休暇日等を振り替えたとしても助成の対象になりません。「学んだのだから休暇の種類は問わないだろう」とはならない、ということです。
対象とならない教育訓練等(抜粋) パンフレットの例
OJT/事業主が主催するOFF-JT 外部講師を招聘して行う場合も含む
教育訓練休暇以外の休暇日に受講するもの 年次有給休暇を取得して受講するもの
趣味教養を身につけることを目的とするもの 日常会話程度の語学、話し方教室、普通自動車運転免許の講習
通常の事業活動として遂行されるものを目的とするもの 自社の経営方針・部署事業の説明、業績報告会、販売戦略会議、QCサークル活動、自社の機器・端末の操作説明
職業能力開発に直接関連しない内容のもの 時局講演会、座談会、学会、見本市、視察旅行、ビジネス交流会、オンラインサロン
法令等で講習等の実施が義務づけられているもの 安全衛生教育や特別教育(技能講習はこれに該当しません)

使えない会社もある

福田
会社側の条件についても教えてください。制度さえ作れば誰でも受けられるものではないですよね。
白石みなと
事業主の要件は10あり、すべてを満たす必要があります。基本的なものとしては、雇用保険適用事業所であること、労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成し労働者に周知していること、職業能力開発推進者を選任していること、書類を5年間保存していることなどです。加えて、離職に関する2つの条件があります。
福田
職業能力開発推進者というのは、どういう人を選べばよいのでしょうか。専任の担当を置く余裕はありません。
白石みなと
専任である必要はありません。パンフレットは、従業員の職業能力開発および向上に関する企画や訓練の実施に関する権限を有する者を選任するよう求めており、例として教育訓練部門の部課長、労務・人事担当部課長を挙げています。選任は事業所ごとに1名以上が原則ですが、常時雇用する労働者が100人以下の事業所で適任者がいない場合などは、本社とその事業所の推進者を兼ねて選任できます。事業内職業能力開発計画のほうは、労働局またはハローワークが作成の相談を受け付けています。
福田
離職に関する条件、というのはどういうものでしょうか。人を辞めさせると使えなくなるということですか。
白石みなと
計画届の提出日の前日から起算して6か月前の日から、支給申請書の提出日までの間が判定の対象になります。この期間に解雇等、事業主都合により被保険者を離職させた事業主は対象外です。もう1つは、同じ期間に特定受給資格者となる離職理由により離職した者の割合が、支給申請書提出日における被保険者数の6%を超えている事業主は対象外というものです。ただしその人数が3人以下の場合は除かれます。制度を作る前後に人員整理があると、届かなくなる点にご注意ください。
福田
離職以外にも、そもそも受けられない会社の類型はありますか。避けられるものなら先に知っておきたいです。
白石みなと
17の類型が列挙されています。不正受給から5年以内である、労働保険料を納入していない、支給申請日の前日の過去1年間に労働関係法令の違反を行った、支給申請日または支給決定日の時点で倒産している、といったものです。

よくある質問

福田
最後に、検討している会社からよく聞かれそうな点をまとめてもらえますか。
白石みなと
3つ挙げます。

Q. 休暇の対象を、正社員だけに限ってもよいですか。 法令の範囲内で要件を付すことは可能とされています。パンフレットには、当該制度の対象について、法令の範囲内において制度の取得のための要件を付すことや、被保険者に加えて被保険者以外の労働者を対象に含めることは可能と書かれています。ただし助成の判定に使えるのは被保険者ですので、制度設計の際は労働局にご確認ください。

Q. 休暇中の賃金は、いくら払えばよいですか。 有給の教育訓練休暇制度である以上、休暇取得日において賃金を適正に支払う必要があります。これは事業主の要件そのものに含まれています。加えて、被保険者が休暇を取得した日において、実際に事業主以外の行う教育訓練・職業訓練・各種検定・キャリアコンサルティングのいずれかを受けている必要があります。休みを与えただけでは要件を満たしません。

Q. 賃金要件・資格等手当要件を満たすと、いくらになりますか。 30万円が36万円になります。加算額は6万円です。賃金要件は毎月決まって支払われる賃金を一定期間内に5%以上増加させること、資格等手当要件は資格等手当を就業規則等に規定した上で実際に支払い、賃金を3%以上増加させることです。どちらも実行が前提の約束ですので、見込みがある場合にだけ選んでください。

福田
よく分かりました。正確な情報はどこで確認できますか。
白石みなと
厚生労働省が公開しているパンフレット(詳細版)が一次情報です。

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731970.pdf

福田
ありがとうございました。
白石みなと
本記事は、上記パンフレットの記載(2026年9月9日に本文を確認)をもとにしています。制度の内容は改正されることがありますので、申請前には必ず最新版と、事業所を管轄する都道府県労働局へご確認ください。

なお、対象になり得るかどうかは事業主ごとの個別の判断になりますので、「対象です」と断定はできません。助成金の申請書の作成・提出の代行は社会保険労務士の独占業務です。当サイトでは代行は行っておらず、制度情報の提供と、必要に応じた社会保険労務士のご紹介までとさせていただきます。

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白石みなと
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