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人材開発支援助成金(情報技術分野認定実習併用職業訓練)とは?IT企業でなくても使える

人材開発支援助成金(情報技術分野認定実習併用職業訓練)とは?IT企業でなくても使える

制度概要

対象地域
全国
主な対象者
雇用保険適用事業所の事業主で、主たる事業が情報通信業であるか、IT関連業務を主に担う組織またはDXを推進する組織を有し、訓練開始日に15歳以上45歳未満でIT分野の実務経験がない労働者に、大臣認定を受けたOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を実施する事業主

対象となる可能性がある事業者の例です。詳細な要件は本文および公式ページでご確認ください。

補助率
経費助成60%(大企業45%)、賃金助成は1人1時間あたり800円(大企業400円)、OJT実施助成は1人1コース20万円(大企業11万円)
上限額
2,500万円(1事業所1年度・人への投資促進コース全体の限度額)
申請期限
データなし

公開日 2026-09-09 / 最終更新日 2026-09-09 / 情報確認日 2026-09-09 / 公式ページを見る

この助成金の結論

福田(聞き手)
白石さん、IT未経験の社員を採用して、社内で一人前のエンジニアに育てたいと考えています。こういう場合に使える助成金はありますか。
白石みなと(補助金活用アドバイザー)
人材開発支援助成金の人への投資促進コースの中に、情報技術分野認定実習併用職業訓練というメニューがあります。IT分野未経験者に対するOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練への助成で、まさにその場面のために用意されたものです。中小企業なら経費の60%、訓練中の賃金が1人1時間あたり800円、さらにOJT実施助成として1人1コースあたり20万円が出ます。
福田
社内で先輩が教える時間にもお金が出るというのは珍しいですね。ただ、当社はIT企業ではありません。それでも使えるのでしょうか。
白石みなと
使える可能性があります。ここがこのメニューでいちばん誤解されているところです。事業主の要件は、主たる事業が情報通信業であることか、IT関連業務を主に担う組織やDXを推進する組織を有していることの、どちらかでよいとされています。後者は業種を問いません。しかも組織は部・課・グループだけでなく、プロジェクトチームなども対象と明記されています。
福田
それは意外です。ただ、そこまで間口が広いと、どこかに難しいところがありそうにも思えます。
白石みなと
あります。助成金を申請する前に、厚生労働大臣の認定を取る必要があります。訓練の中身が「実習併用職業訓練」として認められるかを、労働局またはハローワークが審査する仕組みで、訓練開始日の30日前までに書類を出さなければなりません。この認定を取ってから助成金の話になりますので、他のメニューより準備の期間を長く見ておく必要があります。

IT企業でなくても使える

福田
事業主の要件を、もう少し正確に教えてください。全部でいくつあるのでしょうか。
白石みなと
3つあります。②が「いずれか」になっているのが、先ほどお話ししたところです。❷は職務分掌規程や組織規程などで確認するとされていますので、実態としてIT・DXを担う単位が社内にあり、それが規程で確認できる形になっているかを見てください。③の職業能力の評価は、訓練が終わったあとに必ずやることになる作業です。
# 事業主の要件
① 「対象となる事業主」に該当すること(雇用保険適用事業所の事業主であること等)
② ❶主たる事業が日本標準産業分類の大分類の「情報通信業」であること、または❷IT関連業務を主に担う組織やDXを推進する組織を有していること
③ 訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1の職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートにより職業能力の評価を実施すること
福田
「DXを推進する組織」という言い方は、かなり幅が広く読めます。どこまでを組織と呼べるのでしょうか。
白石みなと
幅はありますが、無限ではありません。パンフレットが挙げているのは、部、課、グループ、そしてプロジェクトチームです。逆に言えば、担当者が一人いるだけ、あるいは兼務で名目上そう呼んでいるだけでは、組織を有しているとは言いにくいと考えられます。判断するのは労働局ですので、規程の写しを用意したうえで、認定の申請前に窓口へ相談されるのが確実です。当サイトでは対象になるかどうかの判定はいたしかねます。

対象になるのはどういう人か

福田
受けさせる社員のほうにも条件はありますか。新しく採用した人だけが対象になるのでしょうか。
白石みなと
新規採用に限りません。既に雇用している被保険者も対象になります。ただし訓練開始日において15歳以上45歳未満という年齢の条件があり、これは動かせません。加えて、次の3つのいずれかに当てはまる必要があります。❸があるおかげで、既存社員の配置転換にも使えます。
# 対象になる労働者
❶ 新たに雇い入れた被保険者(雇い入れ日から訓練開始日までが3か月以内である者に限る)
❷ 大臣認定の申請時に既に雇用している短時間等労働者で、引き続き同一の事業主において新たに通常の労働者に転換した者(転換日から訓練開始日までが3か月以内)
❸ 既に雇用する被保険者
福田
「IT未経験」というのは、誰がどうやって判断するのでしょうか。会社の言い分だけで決まるとも思えません。
白石みなと
新規学卒予定者以外の場合、キャリアコンサルタントなどによるジョブカードを活用したキャリアコンサルティングを受けることが要件になっています。そのキャリアコンサルティングの中で、情報処理・通信技術者の職種に関連する業務に従事した経験がない者、または過去の職業訓練の実態から訓練への参加が必要と認められる者であることを確認します。会社が自分で「未経験だ」と判断して終わりにはできません。
福田
そのキャリアコンサルティングは、自社で相談先を探して手配する必要がありますか。
白石みなと
無料で相談・支援を受けられる窓口があります。パンフレットは、キャリアコンサルティングの実施や、訓練カリキュラム・職業能力評価シートの作成などについて、全国に設置している「キャリア形成・リスキリング支援センター」で無料の相談・支援を行っていると案内しています。書類の作りかたを含めて相談できますので、最初の一歩としてここに当たるのが早いと思います。

先に必要な「大臣認定」という関門

福田
先ほどの大臣認定について、詳しくお願いします。どこへ、何を出すことになりますか。
白石みなと
実施計画認定申請書、実践型人材養成システム実施計画、教育訓練カリキュラム、ジョブ・カード様式3-3-1-1の職業能力証明シート、提出書類の確認シートを作成し、訓練開始日の30日前までに都道府県労働局またはハローワークへ提出します。審査のうえ認定・不認定が決まり、認定されると実践型人材養成システム実施計画認定通知書が交付されます。認定の基準は次のとおりです。
主な認定基準 内容
対象者の年齢 15歳以上45歳未満であること
訓練実施期間 6か月以上2年以下であること
総訓練時間数 1年当たりの時間数に換算して850時間以上であること
OJTの割合 総訓練時間数に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること
訓練後の評価 ジョブ・カード様式3-3-1-1により職業能力の評価を実施すること
福田
30日前と聞くと、それなりに余裕があるように思えます。実際のところはどうでしょうか。
白石みなと
時期によっては足りません。パンフレットには、助成金の提出書類の確認等に時間がかかることもあるため早期の認定申請に協力してほしい、と書かれており、とくに申請が集中する1月から3月の時期については、早期の認定申請への協力を求めています。年度の変わり目に新入社員向けの訓練を始めたい会社が重なるためです。なお訓練実施期間の変更等により1か月以上連続して訓練を実施しない期間が生じた場合、その期間は訓練実施期間に含めませんので、6か月以上という基準の数え方にも注意が要ります。4月開始を狙うなら、30日前ぎりぎりではなく、もっと前から動いてください。
福田
大臣認定さえ取れれば、あとは助成金を受けられると考えてよいのでしょうか。
白石みなと
そうとは限りません。ここは強調しておきます。パンフレットには、大臣認定された訓練が、人材開発支援助成金の支給要件を満たさず、助成対象とならない場合もありますとはっきり書かれています。認定は訓練の中身についての判断で、助成金は別の要件で審査されます。2つの関門は別物だとご理解ください。なお職業訓練実施計画届のほうは、通常どおり訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ提出します。提出できる期間は訓練計画届の提出期間カリキュレータで計算できます。

訓練の形と、いくら出るのか

福田
訓練の形にも決まりがありますか。移動の負担を考えると、できればオンラインで済ませたい部分もあります。
白石みなと
このメニューは対面が原則です。OFF-JTは通学制または同時双方向型の通信訓練であることが必要で、eラーニングによる訓練と通信制による訓練は対象外とされています。ただし大臣認定を受けた訓練と内容に連続性があり、一連のものである場合には、付加的にeラーニングや通信制の訓練も助成対象になります。この場合は1つの訓練コースとして扱い、1つの計画として提出します。付加的に行うeラーニングは賃金助成の対象にはなりません。
福田
OFF-JTそのものの形にも、細かい決まりがありそうですね。
白石みなと
あります。OFF-JTは1コースの実訓練時間数が10時間以上であることが必要で、事業主が自ら運営する認定職業訓練か、教育訓練機関で行う事業外訓練のいずれかである必要があります。中身は情報処理・通信技術者の職種に関連する業務に必要となる訓練であることが求められますが、ビジネスマナーのような共通スキル訓練も、OFF-JTの実訓練時間数に占める割合が半分未満であれば認められます。
福田
OJTのほうはどうでしょうか。当社ではテレワークで教える場面も出てきそうです。
白石みなと
OJTも原則は対面ですが、業務によってはオンラインが認められます。パンフレットが挙げているのは、書類作成業務、プログラム関連業務、システム開発業務、各種設計業務です。具体例としてパソコン操作員、ソフトウェア開発技術者、システム設計技術者、CADオペレーターが示されています。指導する人にも条件があり、適格な指導者は申請事業主の役員等または申請事業主に雇用されている者に限られます。親会社や子会社の従業員は適格な指導者に該当しません。さらに、訓練等実施日における指導者の出勤状況・出退勤時刻が確認できない場合は、OJTを実施したと認められません。
福田
金額の全体像を教えてください。先ほど3種類あるとおっしゃっていましたね。
白石みなと
経費助成、賃金助成、OJT実施助成の3本立てです。カッコ内は賃金要件または資格等手当要件を満たした場合の加算後の数字で、達成すれば経費助成率が15ポイント上がります。OJT実施助成は時間ではなく1人1コースあたりの定額ですので、OJTの時間が長い訓練ほど、実質的な負担軽減の効果は大きくなります。
企業規模 経費助成 賃金助成(1人1時間当たり) OJT実施助成(1人1コース当たり)
中小企業 60%(75%) 800円(1,000円) 20万円(25万円)
大企業 45%(60%) 400円(500円) 11万円(14万円)

OJT訓練日誌は受講者本人が書く

福田
訓練を実施したあとの記録についても教えてください。何を残す必要がありますか。
白石みなと
OJTの実施日ごとに、訓練受講者が「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)」を作成する必要があります。ここで注意していただきたいのは、書くのは指導者ではなく受講者本人だという点です。パンフレットには、9欄について毎回受講者本人が記載し、それを確認した日付と氏名を証明者が記入すること、と書かれています。
福田
忙しい現場だと、指導者がまとめて書いてしまいそうです。本人以外が書いていた場合はどうなりますか。
白石みなと
不支給になります。パンフレットの記載は明確で、受講者本人が記載していないことが判明した場合は、該当受講者分について、OFF-JT部分も含め訓練全体が適正に行われていないものとして、助成は不支給とされています。OJTの部分だけが減額されるのではなく、その人の訓練全体が対象から外れます。日誌は毎日、実施日時や場所、その日の訓練の具体的な内容と身についたことを、手書きまたはパソコンで具体的に記入させてください。

よくある質問

福田
最後に、検討している会社からよく聞かれそうな点をまとめてもらえますか。
白石みなと
3つ挙げます。

Q. 資格試験の受験料も助成の対象になりますか。 なります。ただし資格の種類と時期に制限があります。訓練終了日の翌日から起算して6か月以内に、訓練カリキュラム等において取得目標とされている資格・試験を受験する場合が対象で、高度情報通信技術資格(ITスキル標準・DX推進スキル標準のレベル3または4)と、実践的情報通信技術資格(同レベル2)の資格試験に限られます。1つの職業訓練実施計画届につき1回までで、受験料を単独で申請することはできません。受験料を含めて支給申請を行う場合は、資格試験の受験日の翌日から2か月以内が申請期限になります。

Q. OJTを請負先や子会社の現場で行ってもよいですか。 体制が整っていれば可能です。OJTの実施場所が親会社や子会社、請負先である場合は、適格な指導者を対象労働者と同様に配置し、その指導者が指導できる場所であるなど、訓練等の実施体制が確立されていることが必要とされています。ただし前述のとおり、親会社や子会社の従業員自身は適格な指導者にはなれません。

Q. 業務独占資格が必要な仕事をOJTで教えてもよいですか。 受講者がその資格を持っていない場合は対象外になります。業務独占資格を有している者のみがその業務を行うことができるため、業務独占資格に係るOJTを実施する前までに、対象労働者が当該資格を有していない場合は、その労働者は助成金の対象となりません。資格取得の順序を、訓練計画に織り込んでおいてください。

福田
よく分かりました。正確な情報はどこで確認できますか。
白石みなと
厚生労働省が公開しているパンフレット(人への投資促進コースのご案内)が一次情報です。

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731974.pdf

福田
ありがとうございました。
白石みなと
本記事は、上記パンフレットの記載(2026年9月9日に本文を確認)をもとにしています。制度の内容は改正されることがありますので、申請前には必ず最新版と、事業所を管轄する都道府県労働局へご確認ください。

なお、対象になり得るかどうかは事業主ごとの個別の判断になりますので、「対象です」と断定はできません。助成金の申請書の作成・提出の代行は社会保険労務士の独占業務です。当サイトでは代行は行っておらず、制度情報の提供と、必要に応じた社会保険労務士のご紹介までとさせていただきます。

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白石みなと
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